欧州中央銀行(ECB)が水曜日に発表した新たなレポートでは、ユーロなどの伝統的な通貨のデジタル化は国際的な魅力を高める可能性があると述べられている。
法定通貨の世界的な魅力は経済のファンダメンタルズに依存するが、デジタルマネーのいくつかの特徴は発行管轄を越えてそれらの採用を促進する可能性があるとECBは指摘した。また、規制当局は、特定の設計上の特徴により、非居住者が支払い手段、会計単位、価値の保存手段としてデジタルユーロを使用するようインセンティブを与えることもできると述べた。
中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)は発行者の請求であり、コルレス銀行を含む従来の国境を越えた取引に関連するリスクを軽減できるため、安全性は重要な機能であると銀行は指摘した。
ECBの考えによればCBDCが部分的または完全に経済の弱い国の不安定な国の通貨の代替として機能し、現地の支払い手段、貯蓄手段、そして最終的には会計単位になるとしている。
ECBはCBDCの重要性を認識している反面、外国の大手テック企業が支払いを支配していることに懸念を示しており、中央銀行がデジタル通貨を提供できない場合、金融システムの安定性にリスクが生じる可能性を指摘した。
主要なグローバル決済に用いるデジタル通貨の開発としてはFacebook主導によるDiemが挙げられるが、巨大なSNSに下支えされたユーザーベースがあり、同様にSNSから発展した中国決済としてテンセントのWeChatペイなどの前例があるためECBとしては危機感を示している。
レポートの著者によると「これは金融システムの安定性を脅かすだけでなく、個人も商人も同様に、強力な市場支配力を持つ少数の支配的なプロバイダーに対して脆弱になる」と指摘している。
またECBではデジタル通貨の代替設計の選択についても調査されており、特定の機能が、CBDCが建てられた通貨の世界的なアウトリーチと国際的な役割を決定することに注目しており、国内以外の支払いシステムとの相互運用性、非居住者による使用の制限、ユーザーの匿名性、オンラインおよびオフラインの送金と決済の基本的なメカニズムなどの機能を認めている。
レポートは最後に「デジタルユーロはユーロの世界的な魅力をの強化に貢献する可能性はあるが、安定したファンダメンタルズ、発行経済の規模、金融市場の流動性など、国際通貨の地位を定義する基本的な力を変えることはできないだろう」と締めくくっている。