米国の中央銀行制度を担う連邦準備制度(FRS)は、デジタル通貨が既知の経済エコシステム、金融政策、金融の安定性、銀行セクターにどのような影響を与えるかを調査するために、過去数年に渡って分散型台帳技術(DLT)のテストをしていることを連邦準備制度理事会(FRB)のLael Brainard長官が述べた。
Brainard長官は現状のコロナ禍を引用して「資金へ即時かつセキュアにアクセスする方法」の必要性を解き、特に現金給付などの経済政策を必要としている層に対しては緊急性を持っている問題であることを指摘した。
コロナ禍は「全てのアメリカ人がアクセスできる、弾力性のある信頼できる決済インフラストラクチャの重要性を劇的に思い出させてくれた。」と語り、コロナ禍初期において支出が大幅に減少した後、給付が開始してから支出が増加したことを強調した。
円滑な現金給付に対しては未だに課題が多くあり、日本においても給付が緊急に必要な個人を特定し、迅速に手配する手段に悩んだ結果、全世帯給付へと踏み切った経緯もある。効率面では現段階では最良のものであったと判断されているが、目前の生活費に困っていない家庭には貯蓄ではなく消費へ回して欲しいという良心に訴える手段でもあり、改善の余地は多分に残されているはずである。
Brainard長官は、こういった緊急資金の分配ツールとしてのデジタルドルという考え方を少なくとも3月以降には議会で推進してきていると述べたが、米国はブロックチェーンベースの中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行するための公的な努力は具体的には行われていないとも指摘した。
参考:coindesk