日本銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC: Central Bank Digital Currency)発行に向けて、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)などと共同研究を行うグループを立ち上げた。

デジタル通貨に関して一歩先んじている中国を追随する形となるが、日本としては国際的な枠組みで足並みをそろえ、世界水準に押し上げていくことで遅れを挽回したい。

共同研究の内容としては、CBDCの活用の在り方、クロスボーダーの相互運用性の評価、さらに先端的な技術についての知見を共有して、CBDC発行に向けた研究を進めていく形となった。新しい試みとなるため、CBDCを導入した際にどのような影響が起こりうるのか、各国様々な状況を想定して話し合いが持たれる。

中国のデジタル人民元に関しては国際的に広く利用されることで各国の法定通貨が弱体化する懸念や、中国政府が通貨の利用を監視することでプライバシーが暴かれるのではないかといった声も聞かれている。

また、ブレグジットに伴うユーロ・ポンドのパワーバランスの変動に対して、英・EUともに備えていく必要がある。

中国、日本、欧州、カナダが動いていく中で米国が見送る形を取っている。米ドルは今でも国際的な基軸通貨の位置は揺らぐことがなく、デジタル通貨よりも既存の「米ドル」こそが最も安全で信頼のおける通貨であるというスタンスのため、新たな通貨の開発を表立ってすることは信用を揺るがす可能性もある。今後、こういった官製デジタル通貨が台頭してくるようであれば何らかの対策を講じてくるだろう。

経済大国でもあり世界人口の5分の1近くを占める中国単体の動きでも世界に与える影響は非常に大きかったが、多くの大国がこの流れにのることとなった。今回の共同研究により通貨のデジタル化は大きく前進することだろう。

参考:日本銀行