仮想通貨の普及が進むにつれ、ブロックチェーン業界ではより高速な計算方法が求められてくる。
協賛企業らからなる「VDFアライアンス」は、より高速なブロックチェーン・アルゴリズムを開発するためのハードウェアおよびソフトウェアの開発に賞金10万米ドル(約1,000万円)をかけた。1日、公式サイトで発表した。
正確には、「VDF・デザインコンペティション」という名のコンテストを開催し、暗号化技術の1つである「VDF」における計算に対し、製造後に購入者や設計者が開発現場で書き換えることができる集積回路「FPGA」を用いてより速く解くことを課題として挙げ、これを解いた者に報酬を付与するというもの。
公式サイトで公開された課題の詳細は「1024ビットの入力xが与えられたとき、検証可能遅延関数(VDF)‘h=x^(2^t) mod N’を可能な限り速く計算せよ」というもの。
参加者には、ソフトウェア開発のプラットフォーム「Github」内で見つけることが出来るVDFアルゴリズムが提供される。この課題のVDFには、繰り返される計算と各パフォーマンスに同等の時間を要する問題点について触れていないといけない。結果の計算に近道はなく、また、計算を並列化することもできない。
この課題が投げかけられた背景には、AWSやF1、FPGAプラットフォームをターゲットにした「最速のVDF実装の実現」がある。コンテストは8月1日に始まり、参加者は2019年12月30日までエントリーすることができる。コンテストの第1ラウンドは、一番待ち時間の少ないVDFで3,000ドル(約30万円)の報酬がもらえるという内容で、1ナノ秒ごとの改善で3,000ドルの収入が得られる。なお、アルゴリズムの基本待ち時間は50ナノ秒に設定されている。
第2ラウンドは10月下旬頃に行われる予定となっており、詳細については第1ラウンドの結果が出た後に発表される。また、第1ラウンドが完了すると、コンペティションに応募された全ての作品はオープンソース化され、これにより結果の共有が促進される。なお、コンペティションはチームワークやコラボレーションが奨励されている。
Ethereum財団の研究者であるJustin Drake氏は、以下のように語った。
「これは、ハードウェアの設計、オープンソース化の新しい方法で、これまでに試みられたことのないものです。うまくいけば、それはあらゆる種類のブロックチェーンプロジェクト間のコラボレーションの文化を推進するだけでなく、ハードウェア設計業界も開拓するでしょう。」
コンテストはAmazon Web Serviceが主催し、Ethereum財団、Interchain財団、Protocol Labs、Supranational、Synopsys、Xilinxがスポンサーを務めている。協力企業がオープンソースプロジェクトを支援するという新しい手法のコンテストとしても注目が集まる。