世界の中でも仮想通貨に対して否定的な見方をしているインド。先月はインドの国会議員らが、仮想通貨取引を行った国民に対して「最高10年の懲役刑」に加え、「利益・損失の最高3倍の罰金刑」を執行する法案を提出するなど、かなり厳しい見解を示している。

そして、Facebookが主導する仮想通貨「Libra(リブラ)」に対しても同様、否定的な見方をしていることがブルームバーグの報道によりわかった。

ブルームバーグによると、インド財務省経済局次官のサブハッシュ・ガルグ氏は「Facebookの計画が完全に説明されておらず、プライベートな仮想通貨は私達は歓迎していない」とリブラについて語っている。

リブラは、世界中にある選定された法定通貨をバスケット方式として採用しており、不安定性を回避する目的としてペッグされたステーブルコインとされ、一部では安定性が高いとの見方を示されている。需給バランスによって価格変動が起きるビットコインなどと比べて価格の安定が見込めるため、決済などでも利用しやすいといった特徴があり、多くのファンドは高いリスクやパフォーマンスよりも流動性や安定性を重んじる傾向にもある。

現在Facebookが抱える世界に20億人以上というユーザーが国をまたいで交流しており、それらユーザー同士がリブラを使用することになれば新たなマーケットとして発展する可能性も期待されているが、インドによる全面的な仮想通貨の禁止が決定すれば2億6000万人いると言われるインド人のFacebookユーザーの囲い込みに失敗となる。

このような運動はインドのみにとどまらず、さらに多数のユーザーを抱える中国においてもウォレットが利用できない可能性が示唆されている。

Facebookとしてはリブラを積極的に広めたい目論見はあるが、規制の波を穏やかにすべく、余計な詮索をされないように慎重な行動をとっているようにも見える。中国、インドの2国家で世界の1/3を超える人口を擁しており、経済規模の面でも無視できる存在ではなく、リブラにとっては段階を経て進んでいく必要があるだろう。

参考:Bloomberg