投資銀行大手のJPモルガンは、TransferWiseやリップルのような新興企業との競争を回避するため、既存のブロックチェーン・プロジェクトにセトルメント(資金決済)の新しい機能を含めてプロジェクトを拡張する見通しであることが明らかになった。17日、英経済誌のThe Financial Timesが報じた。

2017年に、JPモルガン、オーストラリアのANZ銀行、そしてRoyal Bank of Canada(RBC)の3つの金融機関が提携して設立したブロックチェーンベースのInterbank Information Network(IIN)は現在、220を超える銀行が参加している。

2018年9月の時点ではわずか75だったが、先月には185以上と発表され、約半年で倍以上にまで加盟銀行を増やしている。

IINは、銀行間での取引にかかる時間やコストを削減することを目的とした、JPモルガン独自のブロックチェーン「Quorum」を利用した銀行情報ネットワークだ。

JPモルガンのグローバル決済担当責任者であるJohn Hunter氏によると、IINは急速に発展しており、銀行は「決済時点でより多くのことができるようになる能力を検討している。」と述べた。

今回追加される機能は、ブロックチェーンを応用した送金エラーを削減するシステムで、トランザクションが有効なアカウントに送信されていることをリアルタイムで確認できる機能だ。

Hunter氏は、現在は受取人の口座番号、分類コード、またはその他の詳細に誤りがあった場合、送金から数日後になって判明されることがあり、支払いが拒否されるといった利便性に欠ける部分があるという点を指摘した。

Hunter氏によると、この問題に関する銀行の支払い処理は「80年代半ばから90年代半ば」の時と変わっていないという。「5〜20%の支払いはエラーやコンプライアンスの問題が原因で失敗しており、現在その問題の一部を軽減しようとしているところです」と彼は述べた。

The Financial Timesの報道によると、JPモルガンはサンドボックスのテストも進めており、第3四半期には発売予定とも言われている。最終的にフィンテックのスタートアップがIINを使用することで、その機能に基づいてアプリケーションを開発および起動できるようになるという。

参考:The Financial Times