ビットコインやイーサリアムを代表とする暗号通貨の象徴的な特徴として分散化されたデータのコンセンサスを得るためのアルゴリズムとしてマイニングが必要だという点が挙げられる。
初期の暗号通貨を実践するためには必要不可欠であったマイニングだが、いざ実施段階に入ってみるとマイニングに掛かる電力的コストが問題点としてあげられるようになった。
大量に消費される電力はマクロな視点ではビットコインを維持するために小国よりも多大なエネルギーが必要であり、二酸化炭素排出を軽減していく国際的潮流から大きく外れたものであるというものがあるが、ミクロな視点から見てもマイナーにのしかかる電気代という負担は大きく、自宅の余ったコンピューティング資産で貢献するような時代は通り過ぎ、マイニング専用のマシンを組まずには採算が取れないまでに至った。
こういったコスト面の問題をやや危ない方法で解決してしまったのが電力を無料で使える学生たちだった。
暗号通貨のマイニングを追跡してきたCiscoのセキュリティ研究者によるとマイニング全体の22%が大学のキャンパスによりもたらされているという。
スタンフォード大学では無断で個人的な利益のためにマイニングを行っていた学生に対して今後採掘しないように警告したが、Ciscoの報告によればこういった学生達による行儀の良い不正のみならず多くのハッカーたちがマルウェア入りのネットワークに侵入して大学のネットワーク上でマイニングを行っているとも言う。
ネットワークに接続されたコンピューターのセキュリティが大事なのは言うまでもないことだが、マイニングは限界までリソースを使われてしまうだけに正常に動作しているはずのプログラムのパフォーマンスにも影響を与えかねないため、世界的に今一度セキュリティ意識を高める必要があるだろう。