米ソフトウェア会社のAutodeskのCEOであるAndrew Anagnost氏によると、ブロックチェーンの技術は建設業における汚職をなくすことに貢献してくれる可能性が高いという。

Autodeskは1982年に設立され、建設、建築、メディア、エンターテイメント業界向けのソフトウェアを製造しているソフトウェア会社。2018年はすでに20億6,000万ドルの収益をあげている大手企業である。

Anagnost氏は、13~15日に米ラスベガスで行われたAutodesk Universityカンファレンスにて、ブロックチェーン技術は建設業界の汚職を排除し、現場への信頼を高めてくれると語った。

Anagnost氏によると、建設業界の汚職は珍しいことではなく、何億ドルという大規模なプロジェクトが実行されている時は「いつも何か良くないことがどこかで起こっている。」という。

「誰が何の責任を負っているのか追跡するのは非常に難しい。我々が解決しなければならない大きな技術的問題の1つは、トレーサビリティ(追跡可能性)とアカウンタビリティ(説明責任)を提供することです。」

Autodeskはこれまで建設業界の信頼を向上させるために独自に設計された「Escrow」という非ブロックチェーンのシステムに取り組んできた。現時点でAutodeskはまだブロックチェーン関連の製品を導入していないが、今後の開発の一環としてブロックチェーンの採用を検討していくとAnagnost氏は主張した。

「ブロックチェーンとは何か?トレーサビリティとアカウンタビリティを可能にする分散型の信頼できる元帳です。プロセスに関わる様々な人々が互いに信頼していないような建設業界において、このようなテクノロジーは有用であると言えます。」

Autodeskに限らず、今や世界中の企業や政府が汚職や脱税に対抗するためにブロックチェーン技術の導入を検討している。スペインは今年に汚職防止関連の法令を改正し、ブロックチェーンと人工知能(AI)ソリューションを開発することによって、汚職と積極的に戦っている。

大手建設会社をめぐる汚職事件は日本でも度々取り上げられているが、ブロックチェーン技術によってこうした汚職がなくなれば、建設業界の健全な発展が実現できる可能性は少なくないだろう。

参考:FINANCIAL REVIEW