世界最大の会計事務所“Big4”とも称される国際会計事務所のKPMGは15日、最新の暗号研究レポート「暗号資産の制度化」を公開した。

公開されたレポートによると、ビットコインのような仮想通貨は主に信頼性とスケーラビリティが欠如しているため、資産として価値を保存するステータスを達成するのには長い時間がかかるという。KPMGのチーフエコノミストConstance Hunter氏は、以下のように語った。

「広範囲な金融サービスエコシステムからの参加が増えれば、トークン化された経済の信頼と規模は拡大し、仮想通貨市場が成長・成熟するのに役立るでしょう。」

また、Hunter氏は今後安定した採用と繁栄を計画しているなら“制度化”は避けて通れない道であると指摘した。レポートではフィンテック企業や銀行、支払い機関、取引所、ブローカー・ディーラーおよびその他の企業の大規模な参加を“制度化”と規定した。主要機関が関与することで、現在の世界経済システムに存在する摩擦や非効率性が低減される可能性がある。

現時点では、仮想通貨市場は小規模なレベルでの投資によって推測の段階に入っている。個人は実際に提供できるものよりも仮想通貨の可能性にもっと賭けているため、ほとんど規制されていないスペースで最大限のリスクがもたらされることになる。KPMGの調査では、仮想通貨ビジネスが規制当局の前に明確に製品を定義する必要があると述べており、仮想通貨業界が直面する課題の1つとして規制への準拠が提起された。

また、レポートの寄稿者でもある米大手仮想通貨取引所Coinbaseは、採用段階には「現在の投資・投機フェーズ」、「制度化」、および「ユーティリティ」という3つの段階があると予想した。同社は、制度化とユーティリティのフェーズが並行して行われる可能性があると考えている(または期待している)。世界でも著名な金融機関の採用が増えていくことで、投機的な段階から制度化された段階に移行していくという。

さらに、Coinbaseは「大規模なプレーヤーが参入するために必要なプラットフォームをすでに構築している」と述べ、重要な資金を集めるために「高周波、低遅延マッチングエンジン、透明かつ効率的な価格発見ツール」を追加するとも付け加えている。

KPMGはレポートで、「機関には小売消費者とは異なる要件があり、暗号を快適に使用して取引するためのコンプライアンス、透明性、ガバナンスに焦点を当てる必要があります。」と説明した。

参考:KPMG(PDF)