米商品先物取引委員会(CFTC)会長のJ. Christopher Giancarlo(クリストファー・ジャンカルロ)氏は7日、ワシントンD.C.のジョージタウン大学で行われた「D.F. Fintech Week Conference」にて、分散型台帳技術(DLT)や特定の規制プロセスの自動化により、規制当局は市場をより効率的に監督し、コストを削減することが可能になると語った。

「金融市場へのフィンテックの応用を考えれば自動化がコストを削減し、取引のマッチング、処理、精算と決済に役立つことは明らかである。実際にデータを標準化・分散化するDLTのシステムと市場参加者、または規制当局を組み合わせることで世界の多くの標準タスクが機械によって管理されることになるだろう。」

セキュリティを含む事項の標準化は極めて重要なタスクで慎重になる必要があるが、ジャンカルロ氏の言うように、取引の処理や精算、決済との相性の良さは世界中で行われている様々なプロジェクトによって証明されており、コスト削減につながることも明らかだ。

「ルールブックがデジタル化されたり、コンプライアンスが自動化もしくはスマートコントラクトを通じて事業運営に組み込まれたり、リアルタイムのDLTネットワークを通じて規制上の報告が成される日が来ることも想像できる。CFTCにある機械は、規制上の要件事項を伝達してくれたり、システムを通じてもたらされるデータを消費・分析することもできる。」

コンプライアンスとはご存じのとおり、政府当局が定めた規則に企業が従っていることを証明する義務のことだが、DLTのシステムは特にコンプライアンスや不正検知といった分野においては力を発揮できる領域であることは間違いない。

ジャンカルロ氏が言うようにDLTのシステムと、市場参加者または規制当局が組み合わされば、リアルタイムでデータをより迅速に分析できるようになり、規制当局が特定のルールや取り組みの影響をより簡単に測定できるようになる。さらにジャンカルロ氏は、最適な結果を得るために必要に応じてルールを変更することもできると指摘し、“交通における速度制限”に例えて説明した。

「速度制限は2つ規制目標がある。“安全性”と“交通の流れ”だ。仮に道路や天候を測定する速度制限機があったとすれば、雨の日は安全な交通を実現するために制限速度を下げたり、逆に晴れた平日で交通量が少ない日などはより効率的な交通流を実現するために制限速度を上げたりすることができるだろう。」

ジャンカルロ氏は今年の7月にも、ブロックチェーンは金融機関や慈善事業、社会事業、農業、物流等多くの産業に恩恵をもたらす可能性があると語り、CFTCの動きが他国に比べブロックチェーンの分野で「遅れている」と指摘するなど、分散型テクノロジーや仮想通貨の可能性に前向きな姿勢を示している。

参考:CFTC