IBMがAR(拡張現実)技術を活用したブロックチェーンベースのシステムの特許を申請したことがわかった。

アメリカ合衆国特許商標庁(USPTO)が1日に発表した特許資料によると、IBMが申請した特許はARユーザーに対して望ましくない場所への侵入を防ぐというもので、例えば「ハイリスクの場所、文化的に機密とされる場所、財産所有者によってマークされた場所」などをあげた。

ARとは「Augmented Reality(拡張現実)」の略で、物理的な現実世界にバーチャルの視覚情報を追加するテクノロジーのことを言う。ゲームで言えばゾンビを実際の生活の中に置いたりするといったものがあったり、世界中を一世風靡した「ポケモンGO」もAR技術を活用したゲームの一つである。

ゲーム以外にも、建築や土木、医療といった事前のシミュレーションが重要となる分野に加え、家具・家電の小売など実際にその場所に配置して運用できるかどうかの確認に使われるなど活用事例は多数の分野である。

IBMの目的はARの政治的および現実的な使用へ向けた改善であり、政治的、または現実的に望ましくない場所や物との衝突を未然に防ぐことだという。例えば、ゲームの中の物語の一つをある場所に設置することで、本来とは違う意味の場所に改ざんしてしまい、プレイヤーを誤った方向に導いてしまうといったことを例にあげた。

そのようなゲームやシステムで使用されている場所に関する情報を正確に文書化するためにブロックチェーン技術が使用されており、さらにシステムには様々な場所での相互作用の結果を学習し、使用したブロックチェーンにデータを記録するニューラルネットワークも含まれるという。

この特許のプロセスは時間がかかり、IBMが新しい特許に基づいて製品をリリースするまでには数年かかる可能性が高い。しかし、主にエンタープライズ・クライアントを対象としているIBMがエンターテイメントの分野へ関与するのは稀なことから、興味深い内容となっている。今後の動向にも引き続き注目したい。

参考:USPTO