2017年8月にビットコイン(BTC)のチェーンから分岐して生まれた仮想通貨、ビットコインキャッシュ(BCH)が2018年11月15日にいよいよハードフォークを迎える。

BCHは定期的に機能をアップグレードしており、今度のハードフォークは今年2回目となる。前回は5月15日に一度目のハードフォークが実施され、ブロックサイズが8MBから32MBまでアップグレードされ、「Satoshi OP_codes」が追加されたことでスマートコントラクトの導入が可能となった。一度目はほとんど妨げなく進んだが、11月15日に行われる二度目のハードフォークは順調には進んでいないようだ。

“自称サトシ・ナカモト”のCraig Wright氏が率いるブロックチェーンの研究・開発グループnChainは、BCHのクライアントであるBitcoinABCが提案した変更点に同意せず、グループは独自のアップグレードを実行することを決定した。そうなれば、おそらく2つの独立したチェーンが誕生することになる。

こうしたコンセンサス問題が発生したことで、BCHをサポートしている取引所やプラットフォームは「ハードフォークを支持するべきか?」という厳しい決断を下さなければならなくなった。

何週にも審議は及び、大手仮想通貨取引所Binance(バイナンス)は2日、ハードフォークの1~2時間前からBCHの預金と引き出しを停止することを発表した。さらに米大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)も「2018年11月15日の午前8時PSTから(フォークの約1時間前)、一時停止します。その前にすべてのBCH送受信が完了していることを確認してください。」とほぼ同様の内容を発表をし、「顧客の混乱を最小限に抑える準備ができている。」と発表した。

また、ハードフォーク発生後はBCHのネットワークを積極的に監視し、その後暗号資産の預金と引き出しを再度有効にするためにネットワークを再度評価し、適切な次のステップを実行するとCoinbaseは説明した。万一、複数のチェーンがフォークの後に残った場合は、クライアントがフォークされたBCHにアクセスできるようにすると付け加えた。

BitcoinABCに反対しているWright氏は、BitcoinABCはサトシ・ナカモトが描いた本来のビットコインとはかけ離れているとして否定し、BitcoinSV(ビットコイン・サトシ・ビジョン)と呼ばれるグループによる独自のアップグレードを検討している。

仮にBitcoinABCとBitcoinSVの2つが存在することになってもCoinbaseはいずれのチェーンでも取り出せるようにすると発表しているが、その他の取引所もそうするとは限らない。BCHを購入する場合は、2018年11月のハードフォーク前の取引所の対応やハッシュレート動向を十分にチェックしてからにした方がよさそうだ。

参考:Coinbase, Binance