2008年11月1日、暗号化の情報が流れるCryptographyのメーリングリストに「Bitcoin P2P e-cash paper」といったタイトルのメールが流れた。第三者を介さずに電子決済を行うためのBitcoinの理論が初めて世に出た瞬間である。

その後、開発が始まり原初のブロックがマイニングされ初めてBitcoinが可動したのが2009年の1月のこととなる。昨年末には狂乱を迎え1BTC=200万円もの高値も叩き出したが、当初は1セント未満から始まっており、メールを受け取り、可能性を感じた方々の中でもこれほど世界が熱中することになると予想していたのは数少ないのではないだろうか。

バブルはあっという間に弾け、今では60~70万円前後で安定しているBitcoin相場だが、未だに通貨としてよりはトレードの商材としてが主な立場というのは未だ変わりない。一時期のボラティリティは収まったとは言え、1割前後価値が変動し続けるようでは日本円の代わりに決済に使用するのはよほどの事情がなければ難しいだろう。

また、Bitcoinの相場が従来の通貨同様落ち着いたものになったとしても決済にかかる時間など残されている課題は少なくない。Bitcoin(BTC)からフォークされたBitcoin Cash(BCH)こそ真のBitcoinであるとする見方や、決済のみならずスマートコントラクトを搭載した第二世代仮想通貨とも呼ばれるEthereumの台頭などもあり、発表から10年を迎えるBitcoinもまだ覇権を取るには至っていない。

とは言え、研究者の手を離れ広く知名度を伸ばしたのが昨年のことであると考えればまだ始まったばかりとも言える。Bitcoinも開発が継続されておりロードマップを覗けば様々な課題は克服可能だろう。

昨年とくらべ逆風が吹く仮想通貨界隈だがBitcoinをはじめとして、従来の通貨を置き換える存在になりうるだろうか。