金融機関との協同で摩擦のないクロスボーダー取引をひとつの目標としているリップルは、実用性のある商用アプリケーションによって達成されようとしている。
アジア・太平洋および中東地域におけるリップルの規制関係を担当するSagar Sarbhai氏は、リップルのxRapidと呼ばれる製品は1ヶ月後にはすぐに発売できる状態であるとCNBCに対し自身の見解を語った。
「今後1ヶ月以内に、プロダクションで製品を稼働させた時には良いニュースが聞けると信じている。」
同社の他のブロックチェーン製品とは異なり、xRapidはパブリックなXRPを使用して決済を行う。これによって、クロスボーダー取引の速度を向上させている。今年8月には、リップルがxRapidエコシステムの優先パートナーとしてBitTrex、Bits、Coins.phの3つの仮想通貨取引所を選択したことを報告している。いずれも規模としては日本国内で言えばビットバンクやbitFlyerと同程度であり、各国内で最大規模クラスの取引所である。
リップルCEOのBrad Garlinghouse氏は今年初めに、2018年の終わりまでにはいくつかの銀行が実際にxRapidを使用することになるだろうと予測をしていたが、9月の現時点ではどういう状況だろうか。
Sarbhai氏によると、世界の120以上の銀行や金融機関が、ブロックチェーン技術を使用して決済時間を短縮するxCurrent製品を使用しているという。しかし、XRPに関しては使用していないと述べた。
多くの金融機関が仮想通貨に対してまだ慎重な姿勢であるか、または完全に敵対的であり、今後xRapidにアップグレードするようにこれらの企業を説得することが挑戦となってくる。ただ、Sarbhai氏は以前と比べると今は規制当局やその他の政策立案者たちは、ブロックチェーン技術だけでなく、仮想通貨の分野における利点を認識し始めていると述べた。この技術分野の開発環境はさらに改善していくだろうと予測した。
「何年か前は、“ブロックチェーン技術は良くても仮想通貨は悪い”という風潮があった。しかし最近は、たくさんの規制者や政策立案者が協力しあっているのが見受けられる。彼らはデジタル・アセットや仮想通貨がもたらす大きな利益に気付き始めており、以前とは風潮が変わりつつある。」とSarbhai氏は付け加えた。
今はXRPを使用しないxCurrentが普及しているが、今後XRPを使用するxRapidが広く普及していけば、それによりXRPの実用性も向上していくだろう。今年の6月にGarlinghouse氏は「我々がXRPの実用性を高めていくことで、エコシステム自体が成長し、より健全なものとなっていくと考えている。」と語っていたが、xRapidの普及でXRPの実用性が向上していけば、XRPのみならず仮想通貨全体のエコシステムも大きく成長していくのではないだろうか。今後の展開が注目される。
参考:CNBC