地球温暖化が叫ばれるようになってどれほど経過したかわからないが、確かに今年は非常に暑く、毎日熱中症関連のニュースも絶えない。二酸化炭素と温室効果に対する相関関係に疑問を投げかける動きも未だにあるが、世界は炭素排出量を削減していく方向に舵を切って動いている。その中の一つにカーボン・オフセットという考え方がある。

カーボン・オフセットとは

人が活動する上で二酸化炭素の排出を無くすことは出来ない。呼吸により酸素を吸収し、二酸化炭素を吐き出すことは当然のことながら、火を焚くだけでも排出は避けられない。どれだけ努力しても削減しきれない部分を他の手段で埋め合わせをしようとする考え方に世界が向かっている。

埋め合わせの手段としては、例えば植林など緑化計画での二酸化炭素の吸収を促し、排出分と相殺する方法。または個々人では不可能だが大規模なものとしては、再生可能エネルギーの利用や高効率な省エネ機器を導入することなどがある。それでも完全に相殺しきることは我々には難しいかもしれない。ただし、同じ尺度で考えたとき発展途上国にとっては余裕があるかもしれない。この差異をトレードする手法としてカーボンクレジットというのが考えられている。

温室効果ガスを必要最低限しか出さない生活をしている人のもとには、排出可能な余剰分が残っている見られる。その排出してもよい権利をクレジットとして、過剰に排出しているものが買い取るというのが簡単な説明になる。

カーボン・オフセットの考え方が発表されてから10年が経つが、未だにクレジットの取引に関しては簡単ではない。そこでVeridium財団はIBMと提携し、Stellarのブロックチェーン上にカーボン・オフセットクレジットをトークン化させようとした。今年後半にローンチ予定のこのトークンは、国際基準に基づきクレジットとして裏付けされる。

カーボン・オフセットの考え方に賛同していても、現実的に出来ることが少ない方や手続きの煩雑さから敬遠されていた方なども、ブロックチェーンでクレジットの取引が容易になればカーボン・オフセットの裾野が広がることは間違いないだろう。

当然忘れてはいけないのが、これらのトークン・クレジットを投資的に見る以前に、まずは炭素排出量を出来る限り個々人で削減していくことがこの取組の肝心な所である、ということだろう。

参考:MIT Technology Review, 環境省(カーボン・オフセット)