米テクノロジー企業のOracle(オラクル)社は16日、待望のブロックチェーンサービス“オラクル・ブロックチェーン・クラウドサービス”を正式に開始した。

このOracleの新しいブロックチェーンサービスが発表されたのは今年5月。当時、Oracleの製品開発担当責任者であったThomas Kurin氏は、今後のプラットフォームが他の既存のサービスとどのように統合されるかを、米国の大手仮想通貨メディアのクリプトカレンシーニュース(CCN)に語っていたが、それがいよいよ現実なものとなった。

オラクル・ブロックチェーン・クラウドサービスは、クライアントに独自のネットワークを構築し、安全な環境を提供するだけでなく、ユーザーはOracleのSaaS(Software-as-a-Service、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェア)と、PaaS(Platform-as-a-Service、アプリケーションソフトが稼動するためのハードウェアやOSなどのプラットフォーム一式をインターネット上のサービスとして提供する形態)、およびサードパーティのアプリケーションを容易に統合することを可能にしてくれるクラウドサービスだ。

プラットフォームの一部の機能として、Oracleは顧客に元帳の照会や他の組織への参加、ブロックチェーン・ネットワークの調達などのスマート・コントラクトをプログラムしてテストする機会を提供してくれる。オラクル・ブロックチェーン・クラウドサービスの代表取締役副社長であるAmit Zavery氏は、以下のように述べた。

「私はオラクル・ブロックチェーン・クラウドサービスの可用性を発表できたことに興奮を隠せない。当社の大切なパートナーや顧客とともに何年にも及んで進められてきた研究開発の結果である。Oracleのプラットフォームにより、かつてないほど企業はビジネスを強化し、不要なプロセスを排除し、分散型ネットワークをより簡単に、透過的かつ安全に処理することができるようになった。」

すでに、輸送業向けソリューションを提供するCargoSmartや、金融機関のArab Jordan Investment Bank、オリーブオイル会社のCertified Origins、石油ガス会社のIndian Oil、ナイジェリア税関、医療システムのNeurosoft、太陽エネルギー会社のSolar Site Design、システムインテグレーション事業のSofbang、BtoB金融サービスのTradeFinといった多くのグローバルな組織が同サービスを導入している。

そのうちの1社であるCargoSmartのCEOのSteve Siu氏は、運送会社である同社の複雑なプロセスの簡素化にOracleのプラットフォームが役立っているとし、以下のように述べた。

「Oracleのブロックチェーン・クラウド・プラットフォームは、その包括的な性質により、プロトタイプではあるが、実用的な製品に素早く組み込むことが出来た。今のところ、これまで試したプラットフォームと比較すると、30%以上の生産性の向上が見られた。」

他にも、オリーブオイル会社のCertified Originsはこのプラットフォームを使用して製造から販売までの製品の追跡を計画しており、石油ガス会社のIndian Oilはモバイルアプリケーションの迅速な開発と展開に同サービスを利用するなど、様々な企業が様々な使い方をしている。

現在、多くのブロックチェーンクラウドサービスが開発されているが、このように様々なシステムとの迅速な統合が可能なオラクル・ブロックチェーン・クラウドサービスは、今後もさらなるクラウド定着化に力を込めていきそうだ。

参考:CCN