皆さんはフェアトレードという言葉をご存知だろうか。本来であれば物品と通貨は対等な価値で交換されるべきだが、通貨を重用するあまりに支払い側の立場が強くなり、生産者側に不利な値段付けで取引をするようなことは往々にして起こりうる。特に立場の弱いのが発展途上国であり、通貨を手に入れるためにやむを得ず不利な契約をするということもある。
そういった傾向に歯止めをかけるために考えられたのが公正貿易と言われるフェアトレードの考え方だ。支払い側だけが得をするような不当な買いたたき行為を止めようというのが本質であるが、最終的なコストは当然消費者に返ってくるため、自身の暮らしに余裕のない限りは、フェアトレードの理念を理解していたとしても積極的に利用するに至らないケースが多い。
また、国際フェアトレードラベル機構によって公正に貿易された商品にラベルを添付する取り組みがなされているが、第三者機関による監視によって成り立つため当然コストもかかる。敢えて悪い言い方をするならば“値上げをするための取り組みにコストを掛ける”ことでもある。生産者保護も重要とは言え、余計なコストを掛けることが許可されない事業者も多いであろうことは想像に難くない。
そこで現在ブロックチェーン技術によるフェアトレードの実現に着目されている。全ての取引記録をブロックチェーンに記載することで消費者が直接公正であるかそうでないかの判断を下せるようになるのだ。どの取引でどのような費用が掛かったのかが確認可能になれば遠い異国と仲買人を介しながら直接取り引きと同程度の透明性を確保できるようになる。
日本においては仮想通貨と聞くと昨年末の投機的暴騰によるイメージが根強いかもしれないが、今後社会的インフラとしてなくてはならないものになる未来はそう遠くないかもしれない。