国際通貨基金(IMF)の金融資本市場局の副所長であるDong He氏は、最新の報告書で法定通貨の使用がわずかに減少したことを強調し、今後は法定通貨をより魅力的なものにしていく必要があると提言しました。

同報告書によると、ビットコインを始めとするその他の暗号資産(仮想通貨)の発展は、中央銀行による世界経済の独占に対する懐疑的思考が生み出したと言います。新しく誕生したこの仮想通貨の活躍は、中央銀行を含む全ての金融機関の通常業務を妨害してきました。He氏は、最悪の場合、仮想通貨が原因で中央銀行は廃れていくこともあり得ると述べました。

He氏はまた、仮想通貨が急速に採用されないのは、そのボラティリティ(価格変動)が唯一の原因であるとも指摘しました。銀行側がこのボラティリティに対処することで、中央銀行は良い地位を保持することが出来ると言います。彼は、中央銀行に対する仮想通貨による潜在的な競争と戦う3つの方法を解説しました。

まず1つ目に、中央銀行は法定通貨をより良く、そしてより安定した単位にするために努力すべきであると述べました。He氏は、IMFの専務取締役であるChristine Lagarde氏が述べた言葉を引用しました。Lagarde氏の言葉は以下の通り。

「中央銀行による最善の対応は、効果的な金融政策を継続し、経済が進化するにつれて新鮮なアイディアや新しい需要に対して耳を傾けていくことです。」

2つ目に、パンプ・アンド・ダンプ(風説の流布)のような不正競争を防止するため、仮想通貨に対する“規制”は常に政府当局が最優先すべき議題である必要があると述べました。

最後の3つ目は、He氏の報告書の中で最大の収穫とも言えるポイントで、中央銀行をより魅力的なものにするために、そして現金と銀行準備金を補うために“トークン化”するべきであるということです。

中央銀行は、決済手段としての使用を魅力的なものにし続けなければならないと言います。たとえば、デジタル・トークンを発行して現金や銀行の引当金を補填することで、中央銀行のお金をユーザーにとって使いやすいものにすることができます。このような中央銀行のデジタル通貨(CBDC)は、暗号資産と同様に、分散型でピアツーピアで交換することができます。

このように、各国の中央銀行へアドバイスするなど進歩的な姿勢を見せているIMF。仮想通貨の誕生で通貨の国境がなくなりつつありますが、そんな中で中央銀行は如何にして時代と関係し続けていくのか?中央銀行がお金の供給量を管理する金融システムに対して多くの人が疑念を抱いているこの時代で、如何にして法定通貨を魅力的なものにしていくのか?真価が問われようとしています。

参考:IMF(PDF)