「世界中の仮想通貨の開発者や利用者は、ビットコインコア(BTC)よりも速い速度でビットコインキャッシュ(BCH)を採用している。」と、ビットコインの初期からの投資家の1人であるRoger Ver氏は、CNBCに語りました。

昨年、小規模な開発グループがトランザクション効率を向上させるためにアップグレードを追加し、ビットコインから分裂を果たしたビットコインキャッシュという新たな仮想通貨が誕生しました。この新しく誕生した通貨とビットコインを区別するために、ビットコイン(BTC)はビットコインコアと呼ばれるようになりました。

Ver氏は、数少ないビットコインの初期の投資家の1人であり、ビットコインの普及に努めていたことから、イエス・キリストのイエスの名前を取ってBitcoin Jesus(ビットコインの神)としばしば呼ばれるようになりました。そんなビットコインの世界において大きな存在感を示すVer氏は、ビットコインコアについて以下のように言及しました。

「ビットコインコアは遅く、高価で、信頼性がありません。」

代わりに、Ver氏はトランザクションに特化したビットコインキャッシュを勧めました。技術革新・インフラはビットコインキャッシュを基盤にして構築されていっていると、Ver氏は続けて述べました。

「多くのビジネスは、ビットコインキャッシュを基盤として新しい商品を作っております。Bitcoin.comのCEOである私自身もそうです。ビットコインキャッシュが進む経済的経路は、ビットコインの成功に繋がるものです。」

そして5月16日、ビットコインキャッシュはハードフォークを行いました。その内容は、基本ブロックサイズが8MBから32MBにアップグレードされるということと、SatoshiのOPコードを追加することの2つです。

ビットコインキャッシュ推進派のVer氏は、今回のハードフォークについて触れなかったものの、ビットコインキャッシュこそがサトシナカモトの設計思想を引き継いでいると自身のツイッターでも指摘しました。

最近の仮想通貨市場は軟調な相場動向が続いており、ビットコインキャッシュやイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)といった主流のデジタルアセットなども例外なく特に上昇しているとは言えない状況です。(以下図は5月16日19時現在)

仮想通貨時価総額ランキング5月16日
CoinMarketCapより

上位10の銘柄だけを見てもむしろ下落率が高くなっていますが、それでもVer氏は下落については心配しておらず、逆に年末あたりにはビットコインキャッシュは倍近くになっているだろうと予測しました。

「実際に商業的にそれを使って支払いをすることができるということが、潜在的価値を与えています。多くのトークンは実際には実用性のない投機的な資産で終わってしまっております。世界中でそれが急速に起こっております。ビットコインキャッシュは実際にお金として利用されておりますが、残念ながらビットコインはされておりません。」

取引や実用性こそが、“正式なお金として”成立させていると語るVer氏。昨今は実用性ではなく投機性によって注目が集まり高騰しているトークンが多いですが、そのような実用性の低いトークンが多くの人々に採用されるようになるとは考え難く、ビットコインキャッシュのように何かしら実用性のある機能を実装し価値を高めていくことが求められていくのではないでしょうか。

参考:CNBC