ビットコイン相場は今年に入り軟調な一方ですが、仮想通貨関連のセミナーやカンファレンスは依然として大規模なビジネスとして成功しております。

今週は、仮想通貨メディア・調査会社のコインデスクが主催する仮想通貨大型イベント「Consensus(コンセンサス)2018」が5月14〜16日にかけて米ニューヨークで開催されていますが、このイベントへの参加チケットは約2,000ドル(約22万円)かかります。昨年は2,700人の出席者でしたが、今年は4,000人余りが参加する見通しとなっており、少なくとも800万ドル、日本円にして約8.7億円をもたらすほどのイベントとなります。

ニューヨーク市は今年、コインデスクと共同で仮想通貨などに使われる暗号技術、ブロックチェーンに関わる企業の誘致や雇用創出を通し、同分野のグローバル・ハブ(世界の中心拠点)をめざす大規模イベント「ブロックチェーンウィーク」を11~17日にかけて開催しております。2015年に開催された第1回目は400人程度の参加者だったConsensusも、今ではこの「ブロックチェーンウィーク」という大規模なイベントの中心的な存在になるまでになりました。

このブロックチェーンウィークではConsensus以外にもたくさんのイベントが開催されており、ConsenSysが運営する2日間の「Ethereal Summit」は入場チケットは1,300ドル、17日に開催される「Token Summit」は649ドル、母の日に開催された「Women on the Block」というイベントは一般入場で299ドル、レセプションとラウンジへのアクセス付きのVIPチケットは599ドルの入場料がかかるといったように、同イベントではConsensus 2018と同様に高い入場料を伴うイベントが20以上も予定されております。

「IT業界でたくさんのお金が生まれようとしているのは明らかです。そんな中で“ブロックチェーン”は一番の流行となりそうです。」

そう語るのは仮想通貨送金アプリを提供するAbra社のCEOである、Bill Barhydt氏です。Barhydt氏は続けて以下のように述べました。

「このイベントは、その流行に乗ろうとしている企業のために機会を設けております。スポンサーシップの観点から見てもたくさんのお金が動いており、スポンサーへの依頼は毎日のように来ております。」

ビットコインが下落する中でも、ブロックチェーン技術に注目する人や企業は現在も多くいるということが分かります。しかし、この大規模なカンファレンス事業に異を唱える人もおります。

イーサリアムの共同設立者であるVitalik Buterin氏は、その高額な入場料を理由に今年はConsensusをボイコットすると意思表明し、以下のように述べました。

「このカンファレンスに参加するには約2~3000ドルの費用がかかります。個人的にこのレベルのレントシーキング(超過利潤を得るための活動)には協力したくありません。」

さらに、Buterin氏はコインデスクの記事内のリンクが“詐欺ページ”に誘導している点を指摘し、怒りをあらわにしました。コインデスクはその後、リンクは意図的なものではなくエラーだったとし「エラーはすぐに修正した」と主張しました。

日本でも今月1日、GACKTが、実業家・大城ガクトとして参画する仮想通貨の大型ICOプロジェクト「SPINDLE」が企画する大型カンファレンス「BLOCK ONE powered by SPINDLE」が千葉・幕張メッセで開催される予定でしたが、会場キャパシティーに対し、4倍以上の応募があったことで運営は混乱や大事故を懸念して同イベントを中止するという出来事がありました。

世界で流行しているこの「カンファレンス事業」。こういったカンファレンスが実際にスタートアップの手助けになったり、参加者にとって有益なものになっているかは分かりませんが、仮想通貨やブロックチェーン技術に興味のある人は近年増加の一途を辿っており、決して安くはない費用を払ってでも事業にあやかりたいという人が大勢いることは確かのようです。

参考:CNBC