PBoC(中国人民銀行)のデジタル通貨研究所所長である、Yao Qian(ヤオ・キアン)氏は、ブロックチェーンについて可能性に確信を持ちつつも、金融インフラに対し活用するには、修正すべき欠点があるとの考えを示しました。27日、中国メディアの第一財経によって伝えられています。
ヤオ氏の懸念する点としては一度問題が起きた場合、特にセキュリティ面においては致命的としている事から、データのプライバシー、ガバナンスメカニズムを導入する事が重要と考えています。例えばミスがあった際にデータの修正が困難であることを課題としています。
現状、お金のやり取りに対し、銀行などの金融機関が管理している事によって、万が一のミスがあった時には対応できますが、そのような早急措置ができないブロックチェーン環境に対しては、今後どこの金融機関もリカバリー策を持つ必要があると言えるでしょう。
ビットコインは非中央集権を目指す形であるために、そのようなガバナンスメカニズムを入れることを目的としていないため、ヤオ氏が考えるのは当然と言えるが、今はブロックチェーンにおいても中央集権で管理するブロックチェーンも存在しています。
パブリックチェーンはシャットダウンが出来ない事から、エラーを修正する時はとても難易度が高いと指摘していますが、それがブロックチェーンのメリットであるために、すべてを規制するようであれば、ブロックチェーンの発展にブレーキを掛けてしまう事にもなります。
一例としてイーサリアムのDAOのハッキングの件を指し、また、最近でもイーサリアムのスマートコントラクトのバグが発覚したことで、多くの取引所でETHの取り扱いを一時停止した事もあったことから、パブリックなブロックチェーンに対して安全性は大丈夫なのかと、研究を進めていると見られます。
この他にもクロスチェーンの可能性にも触れており、例えば、チェーンとチェーンの相互運用性はますます重要になっていくとし、代表的なものにInterledegerを挙げています。具体的には、クロスチェーンでのアセット転送などの適用を想定しています。
中国では、仮想通貨に対する規制が厳しく進められていますが、3月中旬にはPBoCの新総裁に指名された易鋼氏が、仮想通貨に対して好意的な人物として注目されたこともあったことから、今後さらにPBoCにてブロックチェーンについて調査・研究が進められていくことでしょう。
参考:第一財経