匿名により政府、企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイト「WikiLeaks(ウィキリークス)」の商品販売部門である「ウィキリークスショップ」は21日、米仮想通貨取引所大手のコインベースに開設した自社のアカウントが利用規約違反が原因で停止されたことをTwitterに投稿しました。

Twitterの投稿内容によると、コインベースは事前の通知や説明なしに、公式@WikiLeaksショップをプラットフォームからブロックしたとのこと。ウィキリークスはTwitter上でコインベースから送られてきたメールのスクリーンショットを添付し、その内容を公開しました。

「慎重な審査の結果、あなたのアカウントは私たちの利用規約に違反して禁止された使用に従事していると考えられます。今後は当サービスへのアクセスを提供することはできません。」

ウィキリークスが決済手段におけるトラブルに見舞われるのは実は今回が初めてではなく、数年前にはPaypal、Visa、Mastercardがウィキリークスへの寄付の取り扱いを停止しました。このことが原因でウィキリークスの支持派がマスターカードのウェブサイトにサイバー攻撃を行うなどといったトラブルが起きたこともありました。

その後はビットコインがPaypalやクレジットカードに代わる決済の手段として使われてきましたが、コインベースのアカウントが利用できなくなったことで、ウィキリークスへの資金支援の道が絶たれた形となりました。主に寄付に依存している非営利の告発サイトであるウィキリークスにとって、アカウント停止は大きな痛手。寄付システム提供打ち切りを行った組織に対する攻撃があった前例を考えれば、事の重大さが理解できるでしょう。

実際に、ウィキリークスのオンラインショップの利用者などは今回の一件で「コインベースを見限る」と言う人まで現れており、早くも波紋は広がっております。仮想通貨やブロックチェーンの専門家であるアンドレアス・アントノポーラス氏も、コインベースの対応についてTwitter上で批判的な意見を述べました。

「我々は一周してまたもとに戻りました。多くの人がビットコインに注目し始めたのは、ウィキリークスが法的禁止措置によって、Paypal、Visa、Mastercard、そして銀行から締め出された時でした。コインベースはまた歴史を繰り返したのです。」

コインベースはカリフォルニア州を拠点として、米財務省・金融犯罪捜査網(FinCEN)から、取引所として正式に登録(認可)されております。規制された取引所としては米国初となり、言わば、国の“お墨付き”の取引所と言っていいでしょう。

一方のウィキリークスは機密文書などを暴露したり、機密情報資料を公開するなど、その特異な行動で世界に激震を走らせる非営利の告発サイトです。国にとっては“やっかい”な存在であることからも、関係政府の圧力がかかったと見る人も少なくありません。

ブロックチェーン技術を利用した企業を買収するなど成長拡大中のコインベースと、決済手段が縮小し締め付けが厳しくなる一方のウィキリークス、双方とも今後の展開が注目されます。