CFTC(米商品先物取引委員会)は15日、仮想通貨の「Pump and dump(パンプ・アンド・ダンプ)」に関する警告を発表しました。

「パンプ・アンド・ダンプ」とは、ある銘柄を煽ることで価格を一時的につり上げる「パンプ(ふくらませる)」をした後、そのつり上がった価格で売り抜ける「ダンプ(捨てる)」を行うことによって利益を得ることを言います。

主に虚偽の情報を流す(風説の流布)などして操作をしますが、時価総額の高い通貨では価格のつり上げが難しいため、時価総額が少なく単価の安い、いわゆる“草コイン”で起こりやすいとされております。

SEC(米証券取引委員会)では以前からパンプ・アンド・ダンプの詐欺に関する警告を発表しており、特にICO(イニシャル・コイン・オファリング:仮想通貨の新規発行による資金調達)に関しては何度か重ねて注意喚起をしています。

今回のCFTCの警告は、仮想通貨のプロモーションの主要な手段である“ソーシャルメディア”に焦点を当てているのですが、仮想通貨のマーケティングに拍車が掛かる中、フェイスブックといったメジャーなプラットフォームが仮想通貨の広告を禁止したことなどを考えると、注目すべき事案でしょう。

警告の声明では、投資家は仮想通貨を買う前に調査をしっかりと行うべきであるということが記されました。

「ソーシャルメディアの情報や急激な価格上昇に基づいて仮想通貨や、デジタルトークンを購入すべきではありません。仮想通貨、デジタルトークン、それらの背景にある企業や団体を徹底的に調査して、事実なのか詐欺なのかを見極める必要があります。」

この状況を「古い詐欺、新しいテクノロジー」と表現し、まだ分からないことが多い仮想通貨やトークンを使っているが、手法はこれまで見られてきた基本的な詐欺の手法が行われているとのことです。

また、声明ではパンプ・アンド・ダンプを行うグループが自身の利益のために行っている価格操作の方法のいくつかが詳述されました。CFTCは以下のように記述しました。

「一部のグループは、まだ知られていない小規模な仮想通貨に、ハイテク分野の有名なビジネスリーダーや投資家が何百万ドルも投入する予定であるといった偽のニュースを流すといったことをしております。これまで見られてきた偽のニュース記事の中には、大手小売業者、銀行、またはクレジットカード会社と提携して、1つの仮想通貨または他の仮想通貨と提携する計画があるといった内容のものもありました。偽の記事で虚偽の緊急性を生み出し、読者に今すぐに購入するように仕向けられるというわけです。」

CFTCはまた、そのようなグループを組織する人や団体に対して執行措置を求めることを示唆しました。

仮想通貨の知名度が上がるに連れて詐欺も増えてきた仮想通貨業界。結局のところ、仮想通貨やブロックチェーン技術がどんなに優れた最先端であろうが、詐欺はほかの投資詐欺と大して変わらないのです。無垢な個人に「こうすれば儲かる。」と信じ込ませて金を盗んでいく手口は、昔から変わらないということです。

他の事例では例えば、ICOのおよそ9割が詐欺だという見解もあります。仮想通貨を詐欺の道具に使うのは許され難い行為ですが、自分の身を守るのは自分です。SNSなどで、知らない人から「必ず儲かる。」「特別な情報がある。」などと投資の話を持ちかけられることがあれば、すぐに信用するのではなく警戒を強める必要があるでしょう。もっと言えば知人からの勧誘などにも注意が必要です。

参考:CoinDesk , CFTC(PDF)