ECB(欧州中央銀行)総裁のマリオ・ドラギ氏が、欧州議会で行われた経済金融委員会にて「ECBは仮想通貨を禁止する権限はない。」と発言したことが分かった。

この発言は「ECBは仮想通貨に対して規制の枠組みを作るのか、もしくは仮想通貨を全面的に禁止する予定があるのか?また、銀行業を保護するためにフィンテックに対してより高い資本的規制をする必要を感じているのか?」という委員会からの質問に対して応えた。

ドラギ氏はまた、仮想通貨による経済的影響についてECBは議論していく段階だとした。ECBとして仮想通貨に対しての関心はサイバーセキュリティであり、リスク対策も行う必要があるとした。

先日にはECB副総裁のヴィトル・コンスタンシオ氏が「ビットコインはチューリップ。投機の道具であって、通貨ではない。」と、昔オランダで起きたチューリップ・バブルを引き合いに揶揄したが、仮想通貨に対して議論していく段階とするドラギ氏の見方では、仮想通貨の技術が持つ可能性について考察していると思われる。

この姿勢からもECBはブロックチェーン技術に関して否定的なわけではないと見られるが、国としてすぐに認めるというわけにもいかないのが現状だろうか。

以前、エストニアが国独自の仮想通貨「エストコイン」のICOを検討した際にはドラギ氏は、ユーロ圏では国が通貨を発行することは認めないとも発言しており、あくまでユーロ圏の通貨はユーロである必要があることを言及している。

世界各国では中央銀行が仮想通貨の発行など、ブロックチェーン技術を活用して国際送金のコストダウンや効率化を図るべく構想しているが、ユーロ圏の通貨はユーロで統一するべきだというドラギ氏の主張を持って仮想通貨を受け入れることになれば、暗号化ユーロが発行される可能性も考えられる。

ユーロ圏の金融政策など政治的な面も影響するので時間はかかるかもしれないが、ECBがどのように仮想通貨と向き合っていくのか、今後の動向から目が離せない。

参考:CoinDesk