アメリカのビリオネア投資家ビル・アックマン氏が暗号通貨業界に警鐘を鳴らしている。曰く暗号通貨業界は自主規制をする必要があり、自主規制なしでは規制当局が取り締まりのために多くのリソースをかけ、更に酷い事態になりかねないとしている。

ビル・アックマン氏はヘッジファンド管理会社パーシングスクエアキャピタルマネジメントの創設者兼CEOで、アクティビスト投資家としても知られている。また、パーシングスクエアキャピタルマネジメントは米国証券取引委員会(SEC)の登録投資顧問でもある。

アックマン氏は暗号通貨について「行われている詐欺の多くは時代遅れのパンプ&ダンプスキームであり、カストディアンが顧客の資産を保護できていない。」と述べている。パンプ&ダンプとは株価操縦による不当な利益を得ることを指す。

併せて「規制当局は、悪役を取り締まるために、より多くのリソースを必要としています。残念ながら、規制当局が追いつくには何年もかかる可能性が高く、決してそこにたどり着けないかもしれません。したがって、暗号通貨業界は自己監視を行い、悪意のある人物を排除する必要があります。そうしないと、閉鎖されるリスクがあります。」と語った。

FTX崩壊が業界に与えたショックは非常に大きく、多くの顧客もまた暗号通貨の規制強化について同調を示しており、FTXを広く知らしめたことで広告主などにも責任を転嫁する訴えも起こされ、広告に出演したプロ野球の大谷翔平選手や、プロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手なども責任を問われている。

一方で実業家のマーク・キューバン氏や、『金持ち父さん』シリーズの著者であるロバート・キヨサキ氏など、FTXの崩壊は暗号通貨の不備によるものではないと擁護する声もあがっている。

アックマン氏は「登録された証券と同じ保護が存在しないため暗号通貨は未開拓のままである」と主張し、SECがそうであるように暗号通貨を有価証券などと同じ枠組みで扱おうとする姿勢を崩していない。