イーサリアムのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行について8月について行われる可能性が高いことが開発者であるプレストン・ヴァン・ルーン氏によって明かされた。ルーン氏が共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏に確認したところ、遅延のリスクは有るもののそれでも9月か10月ではないかという見立てが得られた。

膨大な計算量とそれに伴うエネルギー消費問題が深刻視されるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)によりスタートしたブロックチェーンの歴史がいよいよ転換点を迎えようとしている。

これまでにも実験的な各暗号通貨で様々なコンセンサスアルゴリズムが用いられてきたが、ブロックチェーンにおける計算資源の多くを占めるビットコイン、イーサリアムの2大巨頭が依然としてPoWにより稼働していたため、暗号通貨全体としては環境活動家からは「維持しようとするシステムに対して膨大なエネルギーを消費している」と指摘を受け、SDGsやエネルギー問題の観点から敵視されてきた。

そのイーサリアムがいよいよエネルギー問題の原因でもあるPoWアルゴリズムにメスを入れる。

イーサリアムがPoSへ移行することで消費電力が99.95%削減される試算なども挙げられている。イーサリアムといえばNFTの取引が活発なことでも知られているが、これまでのPoW下のイーサリアムではNFTが一つ取引されるために英国の一般家庭の消費する電力の約2倍ほどが一度に消費されるとも言われており、膨大な量の省エネにつながるといえる。

一方で2大巨頭とも言われるイーサリアムであっても、全体のマイニングの規模でいえば筆頭暗号通貨であるビットコインの約6分の1の規模でしかない。そのためイーサリアムでの消費電力を無視したとしても依然として暗号通貨全体の消費電力問題は解決したとは言い難いが、イーサリアムにおける大規模なPoWからPoSへの移行が成功したとすれば、ビットコインの改革へ向けても大きな前進となるだろう。

イーサリアムのPoSへの移行は全部で5段階設けられており、6月8日に大規模パブリックテストネットRopstenでその最初の段階である「The Merge」が実行される。それに続いて「The Surge」「The Verge」「The Purge」、そして最後の「The Splurge」へとつながっていく。