欧州中央銀行(ECB)の最高幹部であるファビオ・パネッタ氏は、「リスクを取った無法な狂乱」を防ぐための行動を起こすことを各国政府に促した。暗号通貨に対する世界的な規制、取り締まりと中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行するための枠組みづくりを求めている。
ニューヨークのコロンビア大学で「暗号金融のワイルドウエスト」と銘打った演説を行ったパネッタ氏は、現在1.3兆ドルのサブプライムよりも暗号通貨市場が大きいと述べ、かつてゴールドラッシュに沸いた西部に例え、暗号通貨の電動車は絶えず暗号資産価値が上昇し続ける幻想的な物語を伝え、地球上の天国を約束するが、信頼できるお金を生み出すというサトシナカモトの夢はまさに夢であると指摘した。
ゴールドラッシュにおいて最も富を生み出したのは金鉱掘りではなく鉱夫の使用する道具を調達した商人だったという有名すぎる寓話もある。現在のところ暗号通貨価値が堅調な間はビットコインマイナーも利益を上げられているが、寓話のように実際は半導体製造各社は過去5年で大幅な成長を見せている所も多い。
パネッタ氏はまた、サトシナカモトの夢が夢のままであると述べたように、現在の暗号通貨経済圏が分散型金融の哲学に反する仲介者に依存していると指摘。「暗号通貨は不安定さをもたらし、彼らが約束したものとは正反対であり、彼らは新たなワイルドウエストを生み出している」と強調した。
現在の暗号通貨市場はバブル状態であり、崩壊をただ待つような過去の過ちを繰り返すべきではないと主張。「私たちは、暗号資産を規制の範囲に入れるために、グローバルレベルで協調的な努力をする必要がある」と述べ、規制当局は暗号通貨が従来の金融システムにに準ずる規制や保証を行う必要があると説いた。
また、実際にデジタル資産と即時決済の需要の増加が暗号通貨の成長を後押ししていることも認め、公的機関はCBDCの発行に取り組み、中央銀行にデジタルイノベーションを起こすことを推奨した。
ECBもまたデジタルユーロの発行には意欲を見せており、欧州中央銀行がこれらの分野で主導的役割を果たしているとパネッタ氏は主張した。