アメリカのパット・トゥーミー上院議員が先週、中国による中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する懸念を表明、ジャネット・イエレン財務長官とトニー・ブリンケン国務長官に手紙を送ったことが明らかになった。

「今週、北京での重要な発展への関与を要請するため書いています。世界初の主要なCBDCの外国の聴衆への展開です」と手紙には綴られている。

先週、北京でいよいよ開幕を迎えた冬季オリンピック。中国当局は外国向けへのデジタル人民元「e-CNY」のお披露目の場として五輪を以前から想定しており、メディア関係者などが既に利用しているという。

日経新聞でも使用レポートが報じられており、レポートによればデジタルウォレットアプリは中国国内で契約したスマートフォンがないとアプリストアからダウンロードが出来ず、アプリの利用も中国銀行の口座が必要になるという。口座のない海外ユーザー向けにプリペイドカード式の代替手段も用意されているが、チャージには現金が必要となるなど、利便性をアピールするには若干力不足な面も見受けられる。

このe-CNYに対して脅威を覚えているのが米国のトゥーミー上院議員だ。「アナリストが指摘するところによると、e-CNYは米国の制裁を覆す可能性や不正な資金の流れを促進、中国の監視能力を高め、国境を越えたデジタル決済の標準を設定するなど、北京に『先行者利益』をもたらしうる。」と具体的に述べている。

一方で、中国では既存の暗号通貨への取り締まりが厳しいことから、米国が民主主義の原則に基づいた暗号通貨イノベーションの先駆者となる機会があるとも述べている。

トゥーミー議員はこれらのことを踏まえて、中国のe-CNYがどのように展開されていくか綿密に調査することを、財務長官と国務長官へと要請。

e-CNYの分配方法、中国人および非中国人によるe-CNYの採用を促進するために採用された戦略、外国人によるe-CNYの採用率、オリンピック後のe-CNYの総発行量、米国政府への教訓、および米国への考えられる課題などが含まれた9つの分野についての情報を要求した。