Coinhive事件について12月9日に最高裁で弁論が開かれることが明らかになった。2020年2月7日に東京高等裁判所で有罪判決が出されていたが、被告による上告が認められた。

Coinhiveは不正指令電磁的記録に関する罪を巡った事件となっており、ウェブサイトに暗号通貨Moneroのマイニングスクリプトを設置し、サイト閲覧者にマイニングを行ってもらうことでサイト運営者の資金源とする、広告に変わる新たなウェブのマネタイズとして注目されていたCoinhiveスクリプトに関する事件である。

Coinhiveスクリプトを実際に設置していたウェブサイト管理者の男性に対して、不正指令電磁的記録に関する罪で横浜簡易裁判所が罰金10万円の略式命令を出したところ、男性は不服を申し立て2019年1月より横浜地方裁判所で公判が始まった。

地方裁判所では被告の主張が認められ男性に無罪判決が出されたが、これに対して横浜地方検察庁は控訴し、東京高等裁判所では地裁判決が覆され、男性の有罪判決となった。

男性側は高裁の有罪判決に対して上告をし、最高裁はこれを受理し、2021年12月9日に弁論が開かれることが今回明らかとなった。

Coinhive事件を巡ってはセキュリティ研究者の高木浩光氏などが表立って検察側を批判しており、当事件で争点とされた「閲覧者」の意図しない動作をするスクリプトをサイトに設置することを罪と認める線引の曖昧さに警鐘を鳴らしている。

この曖昧性をもったままCoinhiveを本罪上で有罪とすることは、ウェブサイト運営者の設置するあらゆるスクリプトに対して訴訟リスクを埋め込むものであると指摘する声も少なくなく、ウェブサイト開発への萎縮を招くとされている。

一方で一般ユーザー側からは、Coinhiveに類するスクリプトが認められることも許容し難いという声も上がってきており、本件の判決もさることながら、本件を教訓とした今後の規制の明確さが求められるところだろう。