日本国内において地方の独自デジタル通貨の発行が噂される中、日本の中心都市である東京都も「東京ユアコイン」と呼ばれる独自の通貨を発行しようとしている。
国は今後2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げることを目標としているが、東京都はそれを上回る50%を目標にすべく長期プランを定めている。実際最もインフラの整いやすい東京で大きくアドバンテージを得なければ国全体での目標達成は困難であろうため具体的な数字はどうあれ国よりも高い目標を目指すのは妥当なところだろう。
この東京ユアコインはただ現金をチャージして使用するだけのプリペイド式ではなく、時差通勤やレジ袋削減などの環境に配慮した活動に貢参することで付与される。日常のちょっとした気配りが全て資産になるとすれば東京全体に大きな変革が訪れる可能性は高い。
また、この時期に東京ユアコインを発表したことについては、東京オリンピックを通じて海外の人々へアピールすることで、環境活動とデジタル通貨の両面の知名度をアップさせる狙いもある。
法定通貨は国やそれに準ずる組織により管理、発行されるものが通常であるが、今後こういった形で自治体単位での発行が頻繁になっていくことは地域活性につながる期待もある。ふるさと納税ではギフトカードなどを返礼品として物議を醸した自治体もあったが、自治体発行による地域限定通貨ということであれば、返礼品としていただいたあとに更に現地へ足を運ぶことにも繋がるのではないだろうか。課題としては転売対策などがあるが、今後そういった知見も溜まっていくことだろう。
今回はデジタル通貨ということで仮想通貨のようにブロックチェーンや分散型台帳技術を使用したものではなさそうだが、自治体発行により一定の信用力を担保される。所謂“草コイン”と呼ばれるような仮想通貨には詐欺コインが含まれるケースもあるため、非中央集権派にしても使用を好む場合は大いにあるだろう。
古くから海外ではクレジットカード文化というものが広まっており、現在中国ではQR決済により消費者間でもキャッシュレスが進んでいる。それに比べると日本ではキャッシュレス分野で遅れを取っているため、都民にとってキャッシュレスがいかに身近なものであるかを体感してもらうための施策になるかが注目される。
東京ユアコインはすでに利用されている決済サービスのポイントとの交換も視野に入れており、来年の1月~2月頃から試験導入が行われる予定になっている。
参考:日本経済新聞