バハマ中央銀行(CBOB)にて総裁を務めるジョン・ロール氏は、迅速に災害支援が出来るように中央銀行自らが主体となる、デジタル通貨「Sand Dollar」計画を発表したと、国内の主力メデイアであるThe Nassau Guardianが伝えた。
バハマは700以上の小島からなるカリブ海にある国である。ハリケーンが発生しやすい場所でもあり、今年の9月には一番強い勢力であるカテゴリー5の「ドリアン」によって死者は50人以上、バハマに住む人の約17%となる7万にも及ぶ人たちが家を失う事態に陥った。
またロール氏曰く、バハマはデジタル通貨よりも現金に固執する考えから復旧が遅れていると言い、その価値観を踏まえた上でインフラの壊滅的な被害で現金輸送が困難になる事を想定して「Sand Dollar」計画を発動したと言う。
仮想通貨での災害支援は他にも行われており、例えばイランでは経済制裁を受けている事で現金が難しい事情から、仮想通貨デベロッパーによって、仮想通貨で寄付が可能となる「イラン・レスキュービット」計画を実施。さらに中国で誕生しマルタ島に拠点を移す事を発表した大手の仮想通貨取引所のバイナンスは、去年の7月に起きた西日本豪雨災害の為に募金を呼びかけ、1.6億円分もの仮想通貨が寄付された事を発表した。日本もまた今年に発生した台風や地震など、多発する自然災害に苦しむ国の一つである。
銀行口座を有していない、世界の20億もの人に金融サービスが受けられるように試みるドレミングの高崎義一会長は、今年の9月に行われたFINSUMの場で、阪神淡路大震災の経験で現金が役に立たなくなった事から、デジタル通貨の必要性を訴えた。
デジタル通貨はオフライン環境下でもやりとりが出来る事をロール氏は伝えている。「Sand Dollar」計画の取り組みは我々も十二分に学ぶべきものがあり、恐らく日本でもデジタル通貨の発行が今後より具体的に促進されていくはずである。