国際送金システムを提供するSWIFTのグローバルバンキング責任者であるウィム・レイメーカーズ氏が国際送金に対してブロックチェーンの課題を指摘し、自社が開発したSWIFT GPIの優位性について語った。
SWIFTと提携している金融機関は現在200カ国で1万1,000とも言われているが、新しいイノベーションであるブロックチェーン技術による国際送金に比べ、送金スピードが遅く、コストが高いと批判されている。
ブロックチェーン技術を使い、速くて安い送金サービスを手掛けているリップルに多くの金融機関が注目しており、日を追うごとにリップルと提携する金融機関が増えている。
現在、SWIFT GPIを利用している銀行は450行に達しており、1日に3,000億ドル以上の決済が行われている。GPIの決済の半分は30分以内、40%は5分以内に振り込まれると言われているが、リップル社の決済サービスxRapidを使って英国とメキシコ間の国際送金が数秒で完了したことが報告されており、送金速度についてはGPIの方が劣っている。さらにGPIでの送金コスト面についてもSWIFTは明らかにせず不透明だ。
レイメーカーズ氏によれば、SWIFTは昨年に分散台帳技術を用いてクロスボーダーの送金実験を行い、銀行側が他の全ての銀行が見られる口座でいくらお金を持っているかコミュニケーションをしたくないという意思表示をしており、二つの銀行間での送金を行う場合にKYC(顧客確認)プロセスを持っていない限りに、互いに信頼し合うことは難しいとの見解を示した。
同氏はこれは法的な問題になると指摘し、解決するためにはすべての銀行がブロックチェーンを採用する必要があるとも指摘しており、採用するのは極めて困難との見方を示した。
レイメーカーズ氏の発言はある意味で現状の銀行間での送金システムには向かない事を指摘しているようだが、世間からはSWIFT離れを意識した発言との見方にしか見えないだろう。
いずれ新しいイノベーションについていかなくては金融機関も顧客離れが進むとも考えられ、リップル側としてはSWIFT側の発言があったとしても確実に金融機関との提携拡大を進めていく事だろう。
SWIFTは最近R3との提携の話も出てきている事もあり、SWIFT側もリップルの対抗措置として準備を進めている。GPIのシステムも今後緩やかにブロックチェーン技術にシフトしていくことは間違いないだろう。