金融庁は7日、経営管理態勢やマネーロンダリング対策などの不備を理由に、仮想通貨交換業の「みなし業者」であるFSHOに登録拒否処分を行いました。
これによってFSHOは交換業を廃業することとなり、金融庁が交換業者に対して登録拒否処分を出したのが今回が初めてとなります。
FSHOは顧客と対面する形で日本円と仮想通貨の交換を行うビジネスを展開しており、金融庁によれば、FSHOでは同一人物が複数回にわたって多額の取引を行っており、一度に1億円以上の取引もあったといいます。
これはマネーロンダリングの可能性がある疑わしい取引と見ており、FSHOは法律に基づく取引時に確認を実施していなかったとのことです。
金融庁はコインチェックでのネム流出事件後に、FSHOに立ち入り検査を実施し、その中で取引時確認や疑わしい取引の届け出の要否の判断をしていなかったことが判明したことから、3月8日付で1か月間の業務停止命令と業務改善命令を行いました。
その後、金融庁は業務改善命令の確認を行ったが、依然としてマネーロンダリング対策などが不十分であることがわかり、4月6日には再び業務停止命令2か月間と業務改善命令を出しています。
2度目の行政処分で金融庁は、取引時確認が未済の顧客について、再度に取引時確認を実施したとしているが、当局が改善を要請した内容を十分に理解している管理者が不在で、取引を行う目的や職業の確認を実施していないと言及しています。
経営体制については、何ら刷新・構築されていない状況で、重大な欠陥が認められる状態のままで新経営陣を選任していましたが、株主である旧経営陣が実質的に支配している実態だったとのことです。
さらに法定帳簿やシステムリスクの管理、利用者保護も未整備のままであったために、顧客保護の観点からも万が一の対応には不十分とする金融庁の見識は納得と言えるでしょう。
今後、第2、第3のFSHOが出てくる可能性もあり、こういったずさんな業者が一掃されれば仮想通貨業界にとっては更なる健全化が進んでいくことになるでしょう。
参考:財務省関東財務局