イングランド銀行は、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)によって危機を与えるという報告書をワーキングペーパーによって公表しました。

報告によると、CBDCの採用が、商業銀行に対し競走上の脅威を与える可能性があるとしています。

現在、商業銀行による従来の利益になるビジネスモデルは、小口預金(すなわち、当座預金口座と定期預金と定期預金口座にある個人と法人の現金保有高)が豊富に安く供給されることに依存しており、そのような状況が商業銀行の純資金利鞘(NIM、収益性)を支えている状態で、同報告書によればこうした現在の状況がCBDCにより脅威にさらされる可能性があると警告しています。

同報告書はCBDCの形式で中央銀行に金銭を保管する選択肢が一般市民に与えられる可能性があるという急進的な考えについて議論しており、
消費者は、CBDCをより完全な保管場所と認識するだけでなく、これまでに引き続きデジタルウォレットや取引認証サービスを提供する民間業者を用いて支払いや送金を途切れなく行えるようになるだろうとしています。

同報告書は当座貸越の利用可能性に関し、民間業者が支払い機能と一緒にクレジットラインを提供する可能性があることが想像できないわけではないと指摘し、従来の支払い機能が保持されながら、仲介金融機関を介せずに中央銀行のバランスシートに普遍的にアクセスできるという状況は、商業銀行部門に重大な影響をもたらす可能性がある主張しています。

現在、CBDCの話題は世界の各地においてみられ、CBDCにどれくらいの機能を国の関係機関が与えるかによって商業銀行のサービスに制限を与えてしまうため、今後CBDCを導入する国はこのあたりのバランスが必要と言えるでしょう。

どこまで民間、どこまで国に任せるか、それによって商業銀行の利益の部分、国の税収部分はしっかり確保されていくことでしょう。CBDCは安心感を得る反面、市場にとっては市場活性にブレーキを与えてしまう可能性があるため、慎重な議論が交わされていく事でしょう。

参考:Bank of England(PDF)