IMF(国際通貨基金)の専務理事である、クリスティーヌ・ラガルド氏が、英国ロンドンでの会見で「仮想通貨を無視するのは賢明ではないかもしれない」と述べ、特に制度がしっかりしていなかったり、自国通貨の不安定な国や地域に対し直接受け入れていく可能性もあるとした。米CoinDeskにより伝えられている。

自国通貨の信用が少なかったり、不安定な国や地域では、米ドルなどの通貨の利用よりも仮想通貨の利用が拡大していく風潮にあり、「ドル化2.0」とも呼ばれると述べた。

「ドル化」は自国通貨を利用していた国が、米ドルを代替通貨とすることで、例えば戦争など内紛や混乱、政治の崩壊、金融危機などが原因で自国の中央銀行の機能が十分に働かなくなった際に、賃金の支払いから決済、納税などに基軸通貨の米ドルが利用されることを意味する。

国が経済・金融を安定させるために、ドル化を法的に認めるケースもあり、ドル化が進んだ場合は国内経済の米国依存が高まり、米国経済に連動してインフレなどが進行するなど、自国で金融政策をとることができなくなる恐れもある。

しかしながら、仮想通貨の潜在的な革新の背景にある理由の1つとして、既存の通貨(自国通貨や米ドルなど)よりも簡単で安全な通貨に対する消費者の関心が高まっているとし、仮想通貨が実際により安定していくなら、そのシナリオはさらに加速していくという。

また、中央銀行が行う最善の対応は、効果的な金融政策を持続し経済の進化に合わせて新鮮なアイデアや新しい需要に答えていくことが必要だとし、仮想通貨はあまりにも揮発性が高く、エネルギーが集中しすぎたり基礎となる技術がまだ不足していると、見通しを明らかにしていた。

IMFトップのラガルド氏から公の場でこのような見解を得られるということは、事実上世界の通貨として仮想通貨を受け入れていく時期だという前向きな姿勢にも捉えられる。

国や地域、銀行や企業などによって、仮想通貨に対して肯定的・否定的な意見に分かれるが、いずれにしろラガルド氏が言うように「仮想通貨を無視するのは賢明ではない」のかもしれない。今後、ますますの市場の発展が期待される。

参考:CoinDesk