フィリピンの中央銀行であるBangko Sentral ng Pilipinas(BSP)がフィリピン国内での仮想通貨取引所の運営事業者2社に対して、ライセンス(登録承認)を付与したことが分かった。

登録を承認した理由のひとつとして、急速な発展を遂げる反面、リスクの高い仮想通貨事業の規制に対する取り組みの一環とのこと。

Nestor A. Espenilla Jr.(ネスター・エスペニーラ・ジュニア)知事は、登録を承認するにあたって「今回の2社は地元に根ざしていながらも、国際的なルーツも持っている」と言いまた、取引量が、前年度の月額200万ドルから3倍にもなる月額約600万ドルに倍増していることから、「これを規制の枠組み内に入れることが重要。事業者はそれに従い、我々はそれらを規制する方向に動いている」と述べた。

マネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)を徹底、金融システムや消費者保護が十分にされていることを保証し、金融イノベーションを促進する環境を提供することがフィリピン中央銀行の政策であるとしている。

規制当局は、仮想通貨通貨が、国内外の迅速な送金かつ経済的移転を提供する能力を考慮するとともに、決済など支払や送金の手段としての金融サービスに革命をもたらす可能性に期待しているという。

フィリピンは国際送金のやり取りが多く、フィリピン中央銀行の調べによると、2015年の海外に住むフィリピン人からの外貨送金額が銀行経由だけでも、257億6700万ドル(約2兆8,000億円)だったという。これはフィリピン人の国内総生産(GDP)の約70%を占める個人消費に繋がり、フィリピン経済の原動力にもなっているという。このような手段のひとつとして、仮想通貨のメリットを活かして経済の活性化はもとより、消費者保護、AML/CFTに注力していく取り組みが伺える。

日本の場合は金融庁の管轄で事業者登録の管理がされるが、7月末時点で登録者の該当がなく、仮想通貨に交換業を行う際には9月末までに登録の承認を受ける必要がある。このころには、国内最大手グループによる仮想通貨取引所のサービス開始にも期待が高まっている。

日本とも接点の多いフィリピン。中央銀行により規制のもと管理・ライセンスの付与というのは仮想通貨市場において、前向きな出来事ではないだろうか。今後の展開にも期待される。

参考:philstar.com