中国の中央銀行である中国人民銀行(PBOC)が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元「e-CNY」の利用状況について報告をした。北京冬季オリンピックで対外向けに公開されたe-CNYはPBOCの最高幹部によれば「すべての外国人ユーザーがハードウェアウォレットを使用しているようです。」と述べている。

PBOCは火曜日、大西洋評議会の主催するウェビナーにおいてe-CNYの最新の利用実態について報告。北京オリンピックにおいてテストが行われている最中のe-CNYは現在、毎日200万元(約3600万円)以上の支払いに利用されているという。

PBOCデジタル通貨研究所の所長であるMu Changchun氏によれば、外国人ユーザーがハードウェアウォレットを使用し、国内ユーザーは主にソフトウェアウォレットを使用しているという。

先日報告されたように、スマートフォンアプリをダウンロードできるのは中国国内で契約した端末に限られており、外国からの来訪者は中国国内でアプリストアへアクセスしてもソフトウェアウォレットをダウンロードできないケースが多く、代替手段として用意されているクレジットカードタイプのハードウェアウォレットが利用されているようだ。

コロナ禍での開催となった五輪はバブル方式による隔離が厳格に取られていることが報じられているが、会場内の至るところにe-CNY用のATMが設置されており、ハードウェアウォレットを通じて現金とe-CNYの交換ができるようになっているという。

モバイル決済分野の普及度で大きく先行していた中国だけに、CBDC分野においても国民の忌避感は薄いと思われ、インフラが既に充実している点もe-CNYの普及を後押ししていると見られている。