国際通貨基金(IMF)のマネージングディレクターを務めるクリスタリナ・ゲオルギエバ氏は暗号通貨とステーブルコインに対して「適切に設計された中央銀行デジタル通貨(CBDC)に匹敵しない」と見解を述べた。CBDCが慎重に設計されていれば、民間のデジタルマネーよりも回復力、安全性、可用性などに優れ、コストを削減する可能性もあると述べている。

ゲオルギエバ氏は先週、米国ワシントンDCのアトランティックカウンシルでお金や暗号通貨、CBDCの将来についてのスピーチを行った。中央銀行はデジタル通貨に関する概念的な議論を越えて実験段階にあることを指摘し、「これらはまだCBDCの初期段階であり、どれだけ遠くにどれだけ速く進むかは現時点ではよくわかっていない」と語った。

彼女によれば適切に設計されたCBDCが、本質的にボラティリティの高い裏付けのない暗号通貨よりも安全であることは明らかであると指摘。また、暗号通貨よりは適切に規制されているステーブルコインでさえ、CBDCには及ばないと述べた。

現在は約100カ国がCBDCの調査をしていると述べ、バハマのサンドダラー、スウェーデンのRiksbankによる概念実証、中国のe-CNYなどに言及した。

また、アメリカでも連邦準備制度理事会が先月、CBDCに関する報告書を発行したことを受け「IMFは多くのメンバーに技術支援を提供するなど、この問題に深く関わっています。基金の重要な役割は、経験の交換を促進し、CBDCの相互運用性をサポートすることです」と明らかにした。

IMFの主な役割は、日本銀行の資料によると「加盟国の為替政策の監視(サーベイランス)や、国際収支が著しく悪化した加盟国に対して融資を実施することなどを通じて、(1)国際貿易の促進、(2)加盟国の高水準の雇用と国民所得の増大、(3)為替の安定、などに寄与すること」となっている。

金融の安定性を維持するために必要なツールとしてCBDCがグローバルに認識されてきているということでもある。

ゲオルギエバ氏はCBDCの取り組みから学んだ様々な教訓があると述べ、いくつかを共有した。

第一に、経済状況が各国それぞれことなるため、CBDCに求められる普遍的なケースはなく、中央銀行は特定の状況とニーズに併せて計画を調整する必要があるという。

また、経済的安定性とプライバシーの考慮がCBDCの設計にとって最も重要であり、政策立案者が適切な組み合わせを取る必要性を述べ、設計面と政策面の開発のバランスの重要性を強調した。

結論としてゲオルギエバ氏は、「お金の歴史は新しい章に入っています。各国は、新しいデジタル形式のお金を実験しながら、従来の金融および金融システムの重要な側面を維持しようとしています。」とまとめた。