仮想通貨市場がビットコインを始めとして全体的に上昇傾向を示しており、スマートコントラクトで知られビットコインに次ぐ市場規模を持っているイーサリアムに関しても同様の傾向が見られる。

そんなイーサリアムのレートを更に引き上げる要因となるか、イーサリアム上での機密取引を実現するプロトコルが発表された。ACE(Aztec Cryptography Engine)と呼ばれるプログラムをイーサリアムメインネットに展開し、ACEを用いた機密取引を開発者がDappsに統合できるようにSDKもリリースされた。

これによりパブリックブロックチェーンに記された情報をプライベートトークン化することが出来るようになる。

デジタル資産のプライベート化にはゼロ知識証明が利用されている。ゼロ知識証明とは、ある命題が「真」であることを「真であること」以外伝えずに証明するための仕組みである。例えばウェブサイトの本人認証に際し、「パスワードを知っている」ということをパスワードを明かさずに証明するようなこともゼロ知識証明という。

ACEでは以前Zcash and Protocol Labsに勤めたアリエル・ガビゾン氏をチーフサイエンティストとして任命し、Zcash採用されているゼロ知識証明の実装の一つでもある暗号化方式zk-SNARKを採用している。アリエル氏はZcashの重大な脆弱性を発見したことでも知られるエンジニアでもある。

誰であれ、やましいことが何もないとしても台所事情を不特定多数に公開し続けるというのは抵抗があるのではないだろうか。

ブロックチェーンベースの仮想通貨の約束事でもある帳簿の透明性はユーザー目線では一つのデメリットとして受け入れるしかなかったものかもしれないが、気密取引が当たり前となればイーサリアムの普及に向け大きな追い風となることだろう。

参考:AZTEC