西アフリカの西部に位置するシエラレオネ共和国は21日、新しく国家デジタルIDプラットフォームを立ち上げたことを発表した。
「アフリカ初のブロックチェーンと分散デジタルIDの実装」と謳われた同プロジェクトは、市民に正式なID、クレジット情報の制御、デジタル金融サービスへのアクセスを提供するように設計されているという。
同プラットフォームは、分散型台帳テクノロジーであるブロックチェーンを使用するデジタル識別システムである「Kivaプロトコル」で実行され、金融サービスへのアクセスに対する障壁となっている正式な識別の欠如と検証可能な信用履歴の欠如に対処する。
シエラレオネの大統領であるJulius Maada Bio大統領は、2018年9月に国連総会で同プロジェクトを初めて公の場で発表。今回の立ち上げに関して、Bio大統領は以下のように述べた。
「同プロジェクトは2つのステップで実装されます。1つ目は、IDをデジタル化すること。そして2つ目は、そのデジタルIDを信用情報およびそれらの照合周りで重複・再利用できないNational Digital Identity(国民識別番号)と呼ばれる一意の全国的に認められた識別子として使用します。国内のあらゆるサービス提供のための独自の参照ソースと同様に構築されています。ステップ1はすでに完了しました。ステップ2は今年末までに完了する予定です。」
シエラレオネでは、これまではリスクを回避するために貸付機関は共同土地で働く貧しい農民や首都・フリータウンの小規模トレーダーには融資をしないため、低所得層は高利貸しを提供せざるを得なかった。これは、一部には銀行が個人または中小企業の身元または信用履歴を確立する方法を持っていなかったためである。
今回の構築される新しいNational Digital Identity(国民識別番号)のシステムにより、金融サービスプロバイダーは、口座の開設やローンへのアクセスを希望する顧客の身元、最終的には信用履歴を効率的に検証できるようになるとBio大統領は強調した。
同プラットフォームを導入することで、低金利のクレジットを拡大し、機関のリスクを軽減すると同時に、不合理な担保要件を保証せずにそれを行うことが可能になるという。
シエラレオネはハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオ氏が主演する映画「ブラッド・ダイヤモンド」の舞台として知られ、1991年から2002年まで激しい内戦が続いた国で、現地の人々の多くが現在も厳しい貧困に直面している。ブロックチェーンが貧困問題の解決に一石を投じることになるのか。同国の今後の動向に注目したい。
参考:シエラレオネ州議事堂