IMFの専務理事であるChristine Lagarde(クリスティーヌ・ラガルド)氏は、10日に行われたIMFのディベートにて、JPMorganとCircleを昔ながらある既存企業の「incumbent」と、新たな価値を提供する「Disruptor」の2つに分類した。
昔ながらある既存企業の「incumbent」としてJPMorganを、既存の業界を分裂させる「Disruptor」はCircleを挙げ、「デジタル時代のお金と支払い:Money and Payments in the Degital Age」と題してLagarde氏はディベートを開始させた。
Lagarde氏は「彼らはそれぞれ、彼らが人生で行う役割を割り当てられ、それに同意しました。」と語った。また、現金が減少していく中でモバイルが増加し、また個人対個人(P2P)支払いが、とくに中国で巨大な市場になりつつある点を指摘した。また、ケニアやヨーロッパでも同様にP2P支払いが非常に好調に推移していることを指摘した。
CircleのCEOであるJeremy Allaire氏は、「WeChatやAlipayのような支払いシステムはより良いユーザーエクスペリエンスですが、暗号通貨はウェブに固有の衝動を反映していると思います。私は、インターネットのユーザーが直接接続して対話しなければならないという衝動を単に反映しているのだと思います。」と述べ、P2Pと暗号通貨の論旨をまとめた。
JPMorganの消費者およびコミュニティ向け銀行部門のSarah Youngwood氏は、「私はそれが非常に重要だと思います。私達は競争が大好きです。競争は私たちを良くします。また、競合他社の活動が規制され、それが顧客の問題を解決する限り、私たちは競争を歓迎します。」と述べ、規制の必要性を指摘し、銀行側として競争を歓迎した。
また、Lagarde氏はディベート内でビットコインについての議論を行うことを控えるよう求めたが、Allaire氏は、公的ブロックチェーンインフラストラクチャに、国家公認のソブリン通貨を置く可能性を強調した。
「古典的な一元化された清算および決済システムは、これまでメディアや小売が向かっていった方向へ向かっていくと思います。」
Allaire氏は、ソブリン通貨がインターネットで使えるようになり、人々が自分の資産を安全に保持するために第三者が必要としていなくて、地球上の誰とでも素早く取引できるような方法でソブリンの資金が使えるようになった場合、おそらく「元には戻りたくなくなる」と述べた。
また、それが起こった場合、誰もが最も安定した通貨、つまりは準備通貨を使いたいと願うようになり、その準備金を持っていない政府は脅かされることになるだろうとAllaire氏は予測した。
「最終的にエンドユーザーは、オープン・インターネット・モデルが優れたモデルであると感じるようになると思います。」とAllaire氏は語った。
Youngwood氏は、「銀行はテクノロジー企業です。」と語り、銀行は顧客が期待する透明性とセキュリティを提供してきた実績があるテクノロジー企業であることを主張した。
Allaire氏は、暗号化でも同じ信頼性が提供される可能性があると主張した。検証される必要があるものがすべてインターネットにアクセスすることで誰でもチェックできるようになれば、人々は同じような信頼を置くようになると指摘した。
さらにAllaire氏は、オープン元帳ネットワークの脅威となるようなモデルはもはや国家レベルの敵対者であると主張した。これは、ほとんどの銀行が主張するようなものよりもはるかに高いレベルのセキュリティである、と彼は主張した。
しかし、Allaireは「支払い」を強調しすぎたくはないという点も主張した。 「支払いは実際には副業です。支払いは消滅するだろう。」と彼は予測した。彼は、デジタル化と分散化によって可能になる「自動化」や「統合」に強い興味を示し、分散型モデルが支払いだけにとどまらない点を強調した。