5日、ドリコムによって、『2人だけの記録をブロックチェーンに永遠に残す』というカップル向けのサービス「LoveChain(ラブチェーン)」がローンチされた。

スマートコントラクトによって、二人の残したい思い出を「画像」と「テキスト」に変えてEthereumへと記録される仕組みとなっている本サービス。既存の技術で実現されている類似サービスはあるが、なんと言ってもブロックチェーンへ書き込むことで改ざんが実質不可能になるという点が本サービスの醍醐味となる部分であろう。

ただここで気をつけたいのは、では既存のサービスは改ざんされることがあるのだろうか、ということである。もちろんサービスの停止やサーバーの物理的破壊などによるデータ消失などといった不測の事態が起こりうる可能性は既存サービスにはついて回るとは言え、十分に信頼の置けるベンダーのサービスであれば、その発生確率と51%攻撃の成立する確率がどの程度変わるものだろうか。

特に金融資産となりうる仮想通貨において改ざん不可能性というのは切っても切り離せない必要条件であり、その実現のためにブロックチェーン、PoW(プルーフオブワーク)などが選ばれたわけだが、果たしてカップルの思い出をリスクを犯してまで破壊しようとするものがどれだけいるだろう。サービスベンダーが十分なセキュリティでデータを保持していれば十分な案件ではなかろうか。

現在はブロックチェーンに対する意識、期待の高まりから「全てのデータベース」を置き換えられるような錯覚を起こしがちだが、物事には適材適所というものがある。特にプルーフオブワークには電力の過剰使用という批判もある。

これはPoS(プルーフオブステーク)など代替手段の実現で解消しうる問題かもしれないが、パブリックなブロックチェーンへの記録にかかるリソースは中央集権的に単一のノードで完結するデータベースに敵うことはない以上、あらゆるデータを詰め込められるデータベースの代替品とはなりえないだろう。

参考:ドリコム