米国財務省外国資産管理局(OFAC)は2日、サイバー犯罪集団ラザルスがハッキングによって得た仮想通貨をマネーロンダリングした疑いで中国国民2名へ制裁を与えたことを明らかにした。
ラザルスは北朝鮮によって支援されたサイバー犯罪集団で、ムニューシン財務長官によれば資金を盗むために各金融機関へ大規模な攻撃を続けてきているという。
北朝鮮は仮想通貨取引所から盗んだ仮想通貨をロンダリングできるように技術者を訓練しており、今回発覚したのは2018年にそれぞれ別の仮想通貨取引所より盗まれたとされる9100万ドル相当と、950万ドル相当のロンダリングを試みことが発覚。
これらの違法資金のうち3400万ドルほどを移動し、140万ドル相当のビットコインが一旦ギフトカードへと交換された。ギフトカードから再度ビットコインの購入にも使用できるため、口座を出た資金はほぼロンダリングに成功していたと言っても過言ではない。
今回ロンダリングが発覚した仮想通貨の流出元は明らかにされていない。仮想通貨取引所のハッキング事件と言えば日本ではコインチェック事件が記憶に新しく、2018年に流出した資金ということで時期的には合致するが金額は大きくずれている。
北朝鮮によるサイバー犯罪は今回のラザルスグループの他にもブルーノロフやアンダリエルなどが知られている。このようにして得た資金をミサイル開発の元手にしていると見られるが、マネーロンダリングをするにあたってしばしば中国の金融機関へ資金がたどり着くと報告されている。
多額の摘発となったが流出した仮想通貨全体にしてみれば未だ氷山の一角であり、安定した金融システムのためにも米国は引き続きサイバー犯罪や、それに加担するものを明るみにしていくとムニューシン長官は述べた。
参考:OFAC