12月10日にアメリカ米規制当局の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)で局長を務めるケネス・ブランコ氏から、仮想通貨関連会社協力による不審行為報告書のデータが発表された。

合計1万1000件分の報告の中で7100件分が、仮想通貨取引所や仮想通貨ATM、P2P取引所に関わるとのことである。またベネズエラを起点とした仮想通貨関連の取引には、注意を向けるべきだとケネス・ブランコ氏は語った。

ベネズエラは現在、アメリカからの厳しい経済制裁や、それに起因するハイパーインフレ問題などが起きている。その為仮想通貨を救いの手として求めており、P2Pの仮想通貨取引である「ローカルビットコインズ」では、今年2月に法定通貨ボリバルとビットコインの取引量で記録的な上昇を見せた。

また政府は主要産業である石油に裏付けされた仮想通貨ペトロを去年の2月に発行。1ペトロは原油1バレルに等しく発行上限を1億ペトロと定め、60億ドルほどの資金調達の予定だと発表したが、実際のところペトロの取引が活発に行われている実態はないというロイター通信の報告もある。

また、石油に裏付けされた政府発行のステーブルコインという表現にも関わらずペトロを石油に交換する窓口はなく、あくまでペトロは1バレル分の価値のボリバルに変換され、無価値なものであるという有識者の声もある。

ベネズエラによる仮想通貨詐欺がアメリカ国内でも行われ、ダークウェブでの取引や詐欺、仮想通貨に対して知識のない高齢者などに対する詐欺報告も増えているという。

ケネス・ブランコ氏は報告をしていない団体もあることも考慮して「全ての金融機関は不審行為報告書を提出した方が良い」と、不審行為の全容解明へ向けて強調した。

参考:FinCEN