最大の取引量を誇る仮想通貨取引所大手の「Binance(バイナンス)」は8日、悪意のあるハッカーによるサイバー攻撃を受け、7,000ビットコイン(約44億円相当)が流出したと発表した。

同社の発表によると、ハッカーは多数の2FAコードとAPIキーを入手し、フィッシングやウイルスを含むさまざまな戦術を採用したとされている。

BinanceのCEOであるChangpeng Zhao(CZ)氏は自社ホームページに事情を説明。発表によると、7,000ビットコインが不正にホットウォレットから流出されたとしており、これは同社が保有するビットコインの2%に相当するという。しかし、他のウォレットには影響はなく、すべて安全で無傷であると主張した。

また、今回のサイバー攻撃によって失われた約44億円相当の損失は、Binanceが顧客の資産保護の為に創設した「SAFU(Secure Asset Fund Users)」によって補填されるため、同社のユーザー資産に被害は出ないとのことだ。

SAFUは、昨年7月に開始されたBinanceの資産基金で、緊急の事態・状況において損失をカバーするために、全ての取引手数料の内10%を保管するというもの。

今回のサイバー攻撃を受け、Binanceはシステムのセキュリティレビューを実施するため、全ての入出金を一時停止。CZ氏によると、セキュリティの再検証は1週間ほどかかるという。

仮想通貨の取引所が被った損害は、2017年以降だけでも合計8億8,200万ドル(約996億円)にのぼると言われており、近年はセキュリティの甘い取引所やユーザーが直接狙われるといった被害が目立ってきている。各取引所の今後の取り組みと世界的な法整備が望まれる。

参考:Binance