Ethereum World Newsは26日、BitcoinIRAの最高執行責任者(COO)であるChris Kline氏にインタビューを行った。インタビューでは、市場回復の可能性をはじめ、今多くの人が気になっている業界の事情について様々な内容が語られた。

具体的には、ビットコインの大口投資家たちの状況や、米証券取引委員会(SEC)の規制に関する懸念、XRPは有価証券かどうか、最近のハッキングについて、連邦準備制度(FED)の独自通貨発行についてなどがある。以下はそのインタビューの一部である。

【Q:】仮想通貨市場は回復するのか?

【A:】「市場がまた盛り返してくると予想している理由はいくつかある。まず、ゴールドマン・サックス社がビットコインのトレーディングデスクを開始したことや、米国で最大級の仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)がナスダックと提携し、監視サービスSMARTSを提供したことなどが話題となり、市場への関心が高まってきている点が挙げられる。

次に、SECがビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は証券ではないと宣言したことで、これまであった規制の不確実性が解消されつつあるという点。

そして最後は、分散型テクノロジーだ。この新しい技術の誕生により、これまでのデータの保存や処理の方法は大きく変わり、AmazonやFacebookといった大企業をはじめ、様々な企業がブロックチェーン技術をよりよく理解し、活用しようと膨大な資金を費やしている。」

【Q:】ビットコインの大口投資家の状況は?

【A:】「彼らは非常に大きな存在と言える。しかし、現在は影響を及ぼす可能性があっても、長期的には、市場が成熟するにつれて市場に影響を与える能力も低下していくと考えている。第一に、仮想通貨市場が大きくなればなるほど、個々が与える影響は少なくなっていく。さらに、規制当局と司法省はすでに市場操作を調査し始めているため、大口投資家も波を立て難くなってきている。」

【Q:】最近のSECの証券に関する声明は、仮想通貨業界にとってどのような意味があるのだろうか?

【A:】「最近のSECの声明は、ポジティブなニュースであったと私自身は捉えている。まず、米著名アナリストでファンドストラット社代表のTom Lee氏や、私自身がそう信じているように、この宣言により規制の不確実性は解消されてきたと見ている。SECの声明は、規制当局と分散型テクノロジーとの協調、尊重、生産的な関係を示していると考えられる。両者が今日の金融環境に対応するために協力していることを表していると言っていいだろう。」

【Q:】リップル(XRP)は有価証券なのか?

【A:】「私の見解では、有価証券ではない。ビットコインとイーサリアムが有価証券ではない理由については、SECのコーポレートファイナンス部門のトップ、William Hinman氏の「私の理解に基づいた考えでは、現在のイーサリアムの分散型構造のネットワークによる提供や販売は、有価証券取引とは言えない。」というコメントの通りである。XRPは他の仮想通貨よりも集中化されているが、今は分散化に向けて積極的な動きを見せている。」

【Q:】ハッキングは、仮想通貨の規制を加速させるのか?

【A:】「ハッキングは、“進歩”と“変化”を加速させると考えている。SECが全ての取引所に有価証券として登録するように要求したり、大手企業が仮想通貨関連の広告を禁止したり、ブロックチェーン上の取引の分析・解析ソフトを開発するChainalysisという企業が取引状況を追跡するソフトウェアを発表したりと、その事例が今年は多く見られた。」

【Q:】連邦準備制度(FED)は独自の仮想通貨を発行するのか?

【A:】「米ドルの通貨発行権を唯一持っている民間銀行の連邦準備銀行(FRB)が、独自のコイン『Fedコイン』を発行するかどうかという案が持ち上がっている。中国やイスラエルでも通貨をデジタル化する話があるが、私はすぐにFEDが米ドルをデジタル化するとは考えていない。」

Kline氏の見解を踏まえれば、今は規制当局との折り合いを付けながら市場を形成している段階であり、仮想通貨や、それを取り巻く技術はこれから成長していくと考えられる。

仮想通貨自体、実際に使われている例も少なく、実需のある通貨はほぼ皆無に等しいと言えるだろう。投機的な市場が人々を誘引しているのが現状だが、今後は価格だけでなく、技術的な面にも目を向けていきたい。

参考:Ethereum World News