グーグルの共同創業者である、Sergey Brin(セルゲイ・ブリン)氏は、「Founders’ Letter」の中で、イーサリアムなどの仮想通貨を掘り起こすために使われた強力なコンピュータに対する需要が、「コンピューティングのブーム」に貢献したと語りました。

グーグル独自のプロセッサーはこの20年間で20万倍のスピードアップを見せております。ブリン氏は、こういったコンピューティング・パワーの急増はいくつかの要因によって招かれていると言います。

第一の要因は、「安定した活気を誇るムーアの法則」とブリン氏は指摘。これは、コンピューターのチップの1平方インチあたりの計算能力が、1年おきに倍増している傾向にあることを指摘したものです。

第二の要因は、「重さを処理することの需要の増加」だと言います。ゲーマーやグラフィックスを必要とするリグはもちろん、GPUを用いて、取引偽造を防ぐための分散合意システムであるプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)アルゴリズムが見られる仮想通貨に見られることだと言います。

GPU、またはグラフィックス・プロセシング・ユニットは、イーサリアムをマイニングするために使用されます。仮想通貨のブロックチェーンを更新するためには迅速な処理が必要で、これには先にも記したプルーフ・オブ・ワークのアルゴリズムが使用されています。

また、ブリン氏は、コンピューティングブームの最大の要因は“機械による学習”であると言います。つまりはA.I.。人間の力なしで車を運転したり、顔を認識したり、テキストを翻訳したりすることができる人工知能システムを開発するために用いられるデータ集約技術が大きく貢献してきたと指摘しました。

グーグルは現在、仮想通貨を支える技術であるブロックチェーンの使用を検討しております。しかし、仮想通貨そのもの自体についてはほとんど触れておらず、強いて言えば仮想通貨のマイニングを行うブラウザの拡張機能の禁止や、ICO関連の広告を禁止するといったことくらいです。これはブロックチェーン技術を何らかの形で組み込んだ企業の広告禁止も示唆しておりますが、全面的に関連広告を禁止するということは、善良なICOもブロックチェーンプラットフォームを組み込んだ善良な企業も、米国での情報の拡散にグーグルを利用できないことになります。

グーグル自身がブロックチェーン技術を研究している中でこの措置は厳しすぎるという意見も少なくないと思いますが、グーグルはこれまで数々の技術的な課題を解決に導いてきており、技術革新に大きく貢献してきました。また新たな革新を起こしてくれるのか。ブロックチェーン技術の研究を進めるグーグルの動向は、今後も注目されます。

参考:Alphabet