Gary Gensler(ゲーリー・ジェンスラー)氏は、オバマ大統領の下で商品先物取引委員会の委員長を務め、ヒラリー・クリントン氏の選挙陣営で財務責任者を務め、さらにそれらの仕事の前はゴールドマン・サックスのパートナーに任命されたという経歴の持ち主。

現在はビットコインの基盤技術である“ブロックチェーン”の世界に飛び込み、最近ではマサチューセッツ工科大学でブロックチェーンが金融界を変える可能性について教授するといった教育事業にも関わり、活躍の場を広げております。

そのジェンスラー氏ですが、仮想通貨の2番目と3番目に広く使われている「リップル(XRP)」と「イーサリアム(ETH)」でさえ米国の証券規制に違反して発行されている可能性があると指摘しました。

「両方とも、とくにリップルは、法律に準拠していない有価証券に該当する可能性が考えられます。」

アメリカでは一定の基準を満たさないと「有価証券」の扱いになり、SEC(米証券取引委員会)に認可を受けないと取引ができなくなってしまいます。しかし、政府は明確な規制構造を示していないため、デジタル資産を有価証券か、資産か、通貨かで分類するのが難しい状況となっております。

証券取引委員会とジェンスラー氏が2009年から2014年に指揮した商品先物取引委員会は、近年作成された多くの仮想通貨をどのように分類していくかを検討中です。ほとんどの焦点はICOによって発行された小さな通貨に当てています。しかし、ジェンスラー氏はイーサリアムやリップルのような、よりよく知られた主要な仮想通貨もその議論の中に含まれるべきであると言います。

「2018年はとても興味深い年になるでしょう。発行された1,000種類以上のICO、そしてそのICOを提供する100以上の取引所は、アメリカの証券法をどのように遵守するかを整理していく必要があります。」

イーサリアムやリップル側の人間は「有価証券ではない。」と主張しておりますが、アメリカの証券取引委員会はジェンスラー氏の考えを受け入れる可能性もあると言います。規制当局はイーサリアムが有価証券として分類されるべきかどうかを検討するかもしれないということです。

もしイーサリアムやリップルが有価証券であるとみなされれば、現在取引されている取引所での取引のほとんどが違法になる可能性があります。そうなると売買、または価格の押し上げは非常に困難になってくるでしょう。

ジェンスラー氏は、商品先物取引委員会の委員長を務めていた時、その強い財政的関心で評判を上げてきました。彼が辞任する前に、ゴールドマン・サックス時代の彼のキャリアが、大手銀行を相手にするのをためらってしまうのではないかと心配していた人もいたようですが、金融危機の後にはウォールストリートを抑止するために努力する最も積極的な監視役の一人となりました。

イーサリアムやリップルは有価証券か否か。発行の主体がないものですので、有価証券には該当しないという見方が強くされますが、アメリカ当局によって規制の枠組みが定められれば、自ずと答えは出てくるでしょう。

いちユーザーの立場としては仮想通貨市場にとって健全な市場づくりが求められる一方、圧迫するような規制は避けて頂きたいですね。

参考:The New York Times