4月に任期満了となった米国商品先物取引委員会(CFTC)の会長J. Christopher Giancarlo氏は、CFTCとして最後のスピーチを発表した。
「CFTCとして私が皆さんに話すのはこれが最後となります。その前に、いくつかの考えを共有したいと思います。委員会での5年間は、非常に大きな特権でした。私が勤めている間に、アメリカの農家、牧場主、生産者、エネルギー会社、およびその他の商品先物取引のユーザーが直面しているリスク管理のニーズを、そしてCFTC規制市場に依存する問題について多くのことを学びました。」
「暗号通貨コミュニティの心やマインドに関する多くの問題に取り組むこともまた私の名誉でした。とりわけ、仮想通貨、分散台帳テクノロジ(DLT)、そして幅広くフィンテック関連の問題が多かったです。会長を務めていた期間に感謝しており、とくに、活気に満ちた、明るく、野心的な人々による素晴らしい共同体によって”Crypto Dad”という素晴らしいあだ名まで頂けて、大変恐縮です。」
「私が最初に2014年に宣誓されて以来、政府機関が直面する問題の変化の速いペースに驚嘆してきました。私が最初にコミッショナーとして入社したとき、CFTCは、70年以上にわたるアメリカでの最大の金融危機をきっかけに、ウォールストリートを改革するためのドッド・フランクの規則を5年間もかけて熱心に作っていた頃でした。」
「今回、仮想通貨やDLT、およびフィンテックが、私たちにとってこのような主要な論点になるとは予想できませんでした。この間、皆様の不安を和らげるための政府の声となったこと、この新しい技術を却下するかどうか呼びかける立場にいれたことは、大変幸運なことであったと感じております。」
「最近、規制当局が挑戦しているいくつかの要因を明らかにしました。指数関数的な技術変化の驚異的なペース、伝統的なアクターとビジネスモデルの混乱、そして技術リテラシーとビッグデータ能力の必要性などです。ブロックチェーン技術や暗号通貨など、急速に変化する市場や技術の発展に対するCFTCの対応は、次の4つの基本要素に基づいています。」
以下は、Giancarlo氏が挙げた4つのCFTCの対応の基本要素。
・急速な技術革新と適切な規制対応の必要性を予測する「指数関数的成長マインドセット」の採用。
・自主規制組織や市場仲介業者に頼らずに、分散型ブロックチェーンやネットワークなど、さまざまなデータソースにわたって独立した市場データ分析を実行できる「定量的規制当局」になる。
・暗号資産ベースの先物商品の発売というケースでも見られるように、「市場ベースのソリューション」を採用して技術革新の価値を判断する。
・フィンテックがもたらす機会と課題に取り組み、イノベーションと規制の間の絶え間ない緊張を管理するための、フィンテックの内部関係者の設立。