大手国際送金システム企業SWIFTのCEO、Gottfried Leibbrandt氏は、同機関はR3のプラットフォームを新しい支払い標準の枠組みGPI(Global Payments Innovation)と統合することを明かした。30日に、フランスのパリで行われた「Paris Fintech Forum」にて同氏が発表した。
Leibbrandt氏は、同フォーラムのCNBCが管理するパネルセッションで、「今日はこの後、R3のブロックチェーンを使用して、取引プラットフォームで支払いを開始してからGPIに移行できるという概念実証を発表する予定です。」と発表した。
SWIFTのWebサイトでの発表によると、R3との提携により、SWIFTはGPIテクノロジーをR3のブロックチェーンプラットフォームであるCordaと統合することになる。SWIFTによると、R3のCordaネットワークを使用している企業は、GPI Linkと呼ばれるゲートウェイを利用し、支払いを承認および決済することができるという。
SWIFTのLeibbrandt氏がこれを発表した際、近くにはライバル企業でもあるリップル社のBrad Garlinghouse氏もおり、意見を交わす場面もあった。
パネルディスカッションの中でGarlinghouse氏は「(リップルは)SWIFTと連携することに門戸を開いている。」と述べる一方で、SWIFTのプラットフォームは高額で支払い速度も遅くなる可能性がある点を指摘し、集中化されているモデルが弱点となっていると主張した。
さらにGarlinghouse氏は、「時間の経過とともに、分散型システムが勝つ可能性が高くなっていくと思っておりますが、今のSWIFTはそう(分散型)ではありません。」と語り、提携協力関係を持つことに対してはオープンではあるものの、リップルのネットワークがSWIFTに代わるものとしてはばからず公言した。
リップルとSWIFTの議論の中心にあるのはやはり“ブロックチェーン”だ。リップルのシステムは、支払いを実行するため、そして銀行間での安全かつリアルタイムで行えるメッセージのやり取りを可能にするため同テクノロジーに依存しているが、SWIFTはブロックチェーンを採用することにこれまで躊躇してきた。
SWIFTは2017年に支払い処理時間を短縮し、透明性を高め、コストを削減するためにGPIを導入したが、主に既存のインフラストラクチャーとクラウド技術に依存している。
Leibbrandt氏は、「リップルの価値命題の大部分は暗号通貨XRPだと私は思っております。銀行が暗号通貨への変換を躊躇しているのは、通貨のボラティリティのためであるということが分かります。」と述べ、ブロックチェーンに対するSWIFTの消極的な姿勢は、暗号通貨に見られる不安定な変動に対する懸念によって増幅されていると説明した。
これに対してGarlinghouse氏は、「私は、人々がボラティリティについて話すのをよく聞くが、彼らは誤った情報を広めているように感じます。数学的には、XRPトランザクションのリスクは法定通貨のもつリスクよりも少ないんです。」と延べ、Leibbrandt氏の見解に異議を示した。
参考:CNBC